【UPDATE】2015/01/19 19:38
大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョナ)前副社長(40)が、機内で乗務員のナッツの出し方に激怒して飛行機を引き返させたとして、航空保安法違反の罪で逮捕、起訴された「ナッツリターン事件」の初公判が1月19日午後2時半から、韓国・ソウル西部地裁で開かれた。
聯合ニュースによると、初公判で弁護側は、CAを暴行した事実は認めたが、チーフパーサーの手の甲をファイルでつついたとの起訴内容を否認し「航空保安法上の、航空機安全運航阻害暴行罪にあたる行為と見ることは難しい」と主張した。「滑走路への進入途中は『航路』にはあたらない」と主張して、航空保安法の適用は不当だとし、証拠隠滅を指示したり虚偽証言を強要したりしたとする検察側の起訴内容も否認した。
趙前副社長は「機内の状況について、検察の起訴内容に記憶と多少違ったり、実際より誇張されている部分がある」と主張した。
趙前副社長の弁護人は「被告人が機内でチーフパーサーやCA、機長らに危害を加えたことは痛切に反省している」としたが「チーフパーサーが正確でない記憶または意図的に誇張した陳述をしたり、本人に不利な部分を除いて陳述したりした」と主張した。
■「お前が私になぜ指示できる。私が止めろと言ってるんだ」
聯合ニュースが16日に伝えた起訴状によると、女性キャビンアテンダントがナッツを袋のまま提供したのは、実はマニュアル通りの手順だった。しかし興奮が収まらない趙前副社長は、男性チーフパーサーに「お前のせいだ」と怒鳴り、飛行機から降りるよう命じたという。
また、趙前副社長が、この時点で飛行機がすでに出発していることを認識していたことが、周囲の証言などから明らかになった。一方で逮捕後の取り調べには、一貫して「運航開始後だったかどうかは知らなかった」と、容疑を否認しているという。
2014年12月5日(アメリカ東部時間)、アメリカ・ニューヨークのJFK空港から離陸直前の大韓航空KE086便で、ファーストクラスに座った趙前副社長は、袋のままナッツを提供した女性キャビンアテンダント(CA)を叱責し「ひざまづいて(サービスマニュアルを)探せ。サービスマニュアルもまともに知らないのに、載せていくわけにはいかない。降りろ」と叫んだ。
飛行機はそのとき、離陸前の誘導路に向かって進行中だったが、趙前副社長は、ファーストクラスの入り口に行き、男性チーフパーサーに向かって、「すぐに飛行機を止めろ。私はこの飛行機を飛ばせない。飛行機を止めろと連絡しろ」と、運航中断を指示した。
チーフパーサーは「もう滑走路に進入し始めたので飛行機を止められません」となだめたが、興奮した趙前副社長は「関係ない。お前が私になぜ指示できる。私が止めろと言ってるんだ」と3、4回怒鳴った。
趙前副社長は、マニュアルを直接確認し、CAのナッツの出し方が実はマニュアル通りだったことを理解したが「すべてお前のせいだ。だからお前が責任を取れ。お前が降りろ」と叫び、チーフパーサーを扉に押しつけた。
一方、大韓航空は12月9日に発表した謝罪文で、以下のように説明している。
チーフパーサーを降ろした理由は、最高のサービスと安全を追求すべきチーフパーサーが、
1)担当副社長の指摘にも関わらず、規定と手続きを無視した点
2)マニュアルすらきちんと使用せず、弁明と虚偽で適当に言いつくろった点をあげ、趙副社長がチーフパーサーの資質を問題視し、機長が飛行機から降ろす措置をとったものです。
大韓航空の全従業員は、航空機搭乗時、機内サービスと安全を点検する義務があります。趙副社長は、機内サービスと機内食に責任を負う従業員として、問題提起および指摘をしたのは当然のことです。
(大韓航空副社長、ナッツ問題で批判受け副社長辞任 「責任転嫁」謝罪に社員反発【UPDATE】より 2014/12/11 00:57)
■証拠隠滅を主体的に指示か
「ナッツリターン」の機内の出来事が韓国で大きく報道されると、趙前副社長は12月8日、常務(証拠隠滅の罪で起訴)に電話し「マスコミで航空法違反だ何だと騒がれているけど、最終決定は機長が下した」と、国土交通部の調査に答えるよう依頼したほか「乗務員同好会を通じて、今回の件の責任は私でなくチーフパーサーのせいだという趣旨の噂を流す」よう指示した。常務は「ご指示通り、事態が収束するまで頑張ります」とメールを送るなど、何度か状況を報告した。
一方、ファーストクラスに乗っていたもう一人の乗客は、報道された直後に大韓航空の顧客センターに趙前副社長の行状を報告したが、常務は12月10日午前7時半に、大韓航空の社長に携帯でメッセージを送り「目撃者に謝罪などの措置を取るべきだ」と要請。常務が直接面会して「マスコミの取材はご遠慮頂き、謝罪を受けたことでよしとした」と言ってほしいと要請した。
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