1月19日、フランスの風刺新聞「シャルリー・エブド」編集長のジェラール・ビヤール氏は、7日の襲撃事件以降、物議を醸している同紙の風刺画の掲載を拒んだ欧米各紙を糾弾した。
「この漫画は単なる挿絵ではありません。象徴です。言論の自由、宗教の自由、そして民主主義と世俗主義の自由の象徴なのです」。ビヤール氏は19日、アメリカNBCの討論番組「ミート・ザ・プレス」で述べた。「彼らがこの漫画の掲載を拒むということは、この漫画の意味を曖昧にしているということになります。掲載を拒むということはつまり、民主主義をうやむやにしているということになるのです」。
ビヤール氏は、銃を持った男たちが同紙本社を襲撃し、ステファン・シャルボニエ編集長を始めとする同紙の漫画家と編集者数人を含む12人を殺害した事件が起きた当時、ロンドンにいたと述べた。
14日、「アラビア半島のアルカイダ」のグループが犯行声明を出したこの襲撃事件は、預言者ムハンマドを描いた漫画を出版してきた同紙のこれまでの歴史に対して、イスラム過激派が明白な回答を示したことになる。
襲撃事件から数日間、複数のメディアは物議を醸している風刺画をそのまま掲載することを拒否した。また、同紙が襲撃事件後に発行した号の表紙を掲載しなかったメディアもある。表紙には「私はシャルリーです」というサインを持ってすすり泣くムハンマドが描かれ、絵の上には「全てを赦そう」というタイトルが掲げられている。
ビヤール氏は19日、「ムハンマドの漫画を描くたび、預言者の漫画を描くたび、神の漫画を描くたびに、私たちは宗教の自由を擁護しているのです」と述べた。「それは言論の自由でもあります。宗教は政治的な争点となるべきではありません」。
ビヤール氏のコメントは、教皇フランシスコが挑発的な漫画を公表した「シャルリー・エブド」の判断を批判したことを受けてのものだ。教皇の批判には、預言者を描写することで同紙がやり過ぎたというニュアンスが含まれていた。
教皇フランシスコは15日、「挑発することはできません。他者の信じるものを侮辱することはできません。そして信仰を茶化すことはできません」と述べた。
しかし、ビヤール氏は、教皇の勧告に従うことは危険な先例となりかねないと述べた。
「私たちは誰も殺しません。殺人者と犠牲者を一緒にしてはなりません。書く人、あるいは描く人が挑発者で、火にガスを投げ込んでいると断じるのは止めるべきです。考える者とアーティストを殺人者と同じカテゴリに分類すべきではないのです」。
「シャルリー・エブド」のオフィス襲撃はフランスに混乱をもたらした。銃を持ったシェリフとサイードのクアシ兄弟は現場を離れると、印刷会社に立てこもった。クリバリ容疑者はパリの食料品店で人質を取って立てこもった。警察の突入前に4人の人質が殺害され、残りの15人が解放された。
3人の容疑者は警察に射殺された。4人目の女性容疑者は、トルコ経由でシリアへ逃亡したとされている。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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