サウジアラビアのブロガー、ライフ・バダウィ氏が、国内でのディベートをすすめるリベラルなオンラインフォーラムを開設した罪で、刑務所に入れられている。1月16日には2回目のむち打ち刑が予定されているが、彼の妻の話によれば、体力的に持ちこたえられないかもしれないという。
1回目の公開むち打ち刑は、1月9日に西部の都市ジッダで執行された。バダウィ氏は、長く硬いむちで背中を50回打たれる刑を耐え抜き、1月16日には、2回目となる50回のむち打ち刑を受けるという。そして、オーストラリアのニュースサイト「News.com.au」によれば、バダウィ氏は今後20週間にわたって、毎週金曜に同じ形で公開むち打ち刑を受けることになっている。
バダウィ氏の妻、エンサフ・ハイダルさんは、アムネスティ・インターナショナルに対して次のように語った。「夫の話では、むち打ちのあとの痛みがひどく、健康状態も悪いそうです。きっと次のむち打ち刑には耐えきれないでしょう」
バダウィ氏が開設したのは「フリー・サウジ・リベラルズ」というウェブサイト。このウェブサイトを開設したことで、毎週の公開むち打ち刑にくわえ、AP通信によると、100万サウジアラビア・リヤル(約26万6000ドル、日本円で約2700万円)の罰金も言い渡されたという。バダウィ氏のウェブサイトは、現在閉鎖されている。
バダウィ氏の弁護士で人権活動家のワリード・アブ・アルカイル氏も、禁錮15年という長い刑期と、その後の15年にわたる渡航禁止を宣告されたという。アルカイル氏は、「政権と国家の評判を失墜させる画策」「世論の扇動」「司法に対する侮辱」の罪で、サウジの対テロ法廷で有罪判決を受けた、とAP通信は報じている。
「ワリード・アブ・アルカイル氏の刑期は15年まで拡大された」
AP通信によれば、バダウィ氏はジッダにあるモスクまえの公共広場で、数百人の見物人が見守るなか1回目のむち打ち刑を受けた。50回のむち打ちは、中断することなく続けざまに執行されたと報じられ、刑を目撃した人が、アムネスティ・インターナショナルに詳細を次のように話している。
「バダウィ氏はバスから下ろされて、群衆の真ん中に連れて行かれました。8人か9人の警官が警備していて、バダウィ氏には手錠と足枷をかけられていましたが、顔は隠されていなかったので、その場にいた全員から彼の顔が見えました」
この匿名の目撃者は、さらにこう続けている。「大きなむちを持った執行人が背後から近づいてバダウィ氏をむちで打ち始めました。バダウィ氏は頭を空に向けて上げ、目を閉じ、背を反らせていました。声は立てていませんでしたが、その顔と体を見れば、ひどい痛みを感じているのがわかりました」
本物かどうかは確認されていないが、9日のむち打ち刑を撮影したものとされる動画が、YouTubeにアップロードされている。3人の子どもを連れてカナダへ逃れた妻のハイダルさんは、CNNの取材に対して、その動画を見るのはひどくつらかったと話した。
「むち打ちは、おそろしいものでした。その様子を言葉で説明することはできません」とハイダルさんはCNNに語っている。「むちが1回あたるたびに、わたしが殺されるようでした」
アムネスティ・インターナショナルの中東・北アフリカ局長フィリップ・ルーサー氏は、CNNに対して次のように述べている。「公開討論のフォーラムを勇敢にも開設し、表現の自由という権利を平和的に行使しただけの人に対して、このような残虐な刑罰が科せられるのということは、考えるだけでもおそろしいことです」
国連事務総長の副報道官を務めるファルハン・ハク氏は先週、国連人権高等弁務官事務所が「むち打ち刑に深い懸念を抱いている」と発言している。
アメリカ国務省はサウジアラビアに対して、「バダウィ氏の件を検証」し、「非人道的な」刑罰を中止するよう求めた。
バダウィ氏の妻のハイダルさんは、アムネスティ・インターナショナルに、夫を救うための闘いには「国際的な圧力」が欠かせないと語っている。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:梅田智世/ガリレオ]
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