パリの食品スーパー「ハイパー・キャシャー」で働くイスラム教徒の従業員ラッサナ・バシリーさん(24)は、1月9日、武装した犯人がスーパーにを立てこもったとき、大型冷蔵庫の中に人質を隠し、その命を救った。
アメディ・クリバリ容疑者がスーパーに押し入り、発砲し、4人を殺害した。彼は数人の人質を取り、「警察がシェリフ・クアシ、サイド・クアシ両容疑者が立てこもっているパリ北部の村にある印刷工場を攻撃すれば人質を殺害する」と脅迫した。両容疑者は7日、風刺週刊紙「シャルリー・エブド」の本社を襲撃し、12人を殺害している。
フランスのメディアは、バシリーさんを「マリ人のイスラム教徒」と紹介している。数人の来店客を安全な場所に避難させた。バシリーさんはフランスの放送局「BFMTV」に対し、「私はスーパーの地下室にある冷蔵庫に降りていって、扉を開けました。私と一緒に、お店にいたお客さんも何人か中に入りました。私はそこで、照明と冷蔵庫の電源を切ったんです」と語っている。「私は彼らを中に入れ、そこで静かにしているように伝えました。私は外に出ると言いました。彼らが救出されたとき、私に感謝の言葉をかけてくれました」と述べた。
バシリーさんが冷蔵庫に何名を避難させたかはっきりしていない。マリク・イェットー市会議員は、大人6人と乳児1人が冷蔵庫に隠れて難を逃れたと語っているが、BFMTVはその数を15人としている。
また、「ル・エキスプレス」によると、もう一人のスーパー従業員が非常口から逃がれ、店の鍵を警察に届けている。
警察はこのスーパーと印刷工場へ同時に突入し、クアシ兄弟とクリバリ容疑者を殺害した。
バシリーさんはBFMTVに対して、「貨物用エレベーターを使って何とか店を出た」と語っている。彼が警察の前に出た当初、テロリストの一味と誤解されたようだ。「警察は私に、地面に伏せて、両手を頭の上に置けと命令しました。それから私に手錠をし、テロリストの一味として1時間半、拘束したんです」。その後、彼は警察に店の間取を教え、手助けをしたと語った。
バシリーさんはソーシャルメディアで英雄視されており、この襲撃事件を受けてイスラム教徒全体を悪と見ることが間違いだと認識させるきっかけとなっている。彼のBFMTVとのインタビュー(フランス語)は、上の動画で見ることができる。
バシリー氏は1月10日の夜、BFMTVに出演し、警察が突入した瞬間について証言した。自らの英雄的行動について質問された時、彼は次のように答えている。
「私たちはみんな兄弟です。ユダヤ教徒なのか、キリスト教徒なのか、イスラム教徒なのかは問題じゃない。私たちはみんな運命をともにして、この危機から脱するためにお互い助け合わなければならないんです」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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