紅白歌合戦に明確な"選考基準"は必要か

平均視聴率42.2%と他局を寄せ付けず圧倒的な強さを証明した『第65回NHK紅白歌合戦』。中森明菜、サザンオールスターズらのサプライズ出演など、今回も多くの話題を提供してくれたが、反面、毎年出場者が発表されるたびに疑問の声が挙がるのも“通例”となっている。
時事通信社

紅白出演に明確な"選考基準"は必要か?

平均視聴率42.2%(※)と他局を寄せ付けず圧倒的な強さを証明した『第65回NHK紅白歌合戦』。中森明菜、サザンオールスターズらのサプライズ出演など、今回も多くの話題を提供してくれたが、反面、毎年出場者が発表されるたびに疑問の声が挙がるのも“通例”となっている。果たして同番組には、明確な出演基準が必要なのだろうか? 視聴者の声を元に改めて考察してみよう。

■NHKが提示する基準は「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」

基本的に『紅白歌合戦』への出演については、創成期から統一見解となる明確な基準は設けていない。第65回に関しては、「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」の3点を中心に、「7歳以上の全国5000人を対象にNHKが行った『ランダムデジットダイヤリング』方式による調査の結果」、「『NHKのど自慢』の予選出場者の曲目」、「CD・カセット・DVDの売り上げ」、「有線・カラオケのリクエスト等についての調査」、「インターネットや携帯電話によるダウンロード等についての調査」の5つのデータを参考資料とし、出場歌手を決定したという。

もちろん上記の基準を満たした歌手が多く出演したのは事実だが、やはり大御所というだけで出演者リストに名を連ねているように見受けられる歌手も散見され、ネットユーザーを中心に批判が続出。各局のワイドショーなどでも著名人たちによって、紅白出演者について様々な議論が交わされた。

■明確な基準【必要ない】が6割強! 「売上げだけに特化するとAKBだらけに…」

今回、ORICON STYLEでは『第65回NHK紅白歌合戦』を視聴したユーザーを中心に「今後、紅白出場に明確な選考基準は必要か?」というアンケート調査を実施。その結果、【必要】が38.4%、【必要ではない】が61.6%と、ネット上での反発とは裏腹に6割以上が“必要なし”という、いささか意外な結果となった。

【必要】と答えたユーザーの主なコメントとしては、「基準があれば納得できると思う。ヒット曲がないのに出ているベテランなど納得いかない」(埼玉県/10代/女性)、「年に一度の日本中大勢の人が家族で楽しむ番組だし、なんといってもNHKの番組だから多くが納得できるアーティストを選ぶべきだと思う」(静岡県/20代女性)「いつのまにか紅白も宣伝材料となっている気がするから」(岡山県/20代/男性)など、やはりNHKが掲げた「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」を満たしていない歌手が出場しているのでは?という疑問を持つユーザーが多いようだ。

逆に【必要ない】と答えたユーザーのコメントはどのような声が多いのか? 「『定番』ってものを提供するには基準があると難しくなると思う」(群馬県/10代/女性)、「例えば売上げだけに特化してしまうと、それこそAKBやジャニーズだらけになってしまう。それこそ紅白歌合戦の意味がなくなる」(愛知県/30代/男性)など、具体的な選考基準の難しさを理由として挙げるユーザーが目立つ。また、「明確な基準を設けてしまうと、普段テレビに出ないようなサプライズアーティストの登場すらも無くなってしまう可能性があるから」(福岡県/40代/女性)と、同番組お馴染みの“サプライズ出演”の消滅を危惧する声も多かった。

■受信料を払った視聴者が参加できる『一般投票枠』はあり?

 “完全実力主義”でいくのか? はたまた、年の瀬のお祭り騒ぎとして“コンテンツ重視”でいくのか? どちらの意見にも頷いてしまう、非常に難しい問題だ。実際に【必要】と答えた中にも、具体的な選考基準を決めるのは難しいと考えるユーザーは多く、逆に【必要ない】と答えた中にも、もう少し透明性が欲しいという声がやはり多い。

例えばだが、大物アーティストのブッキングや、『アナ雪』『妖怪ウォッチ』などの企画ものは『NHK推薦枠』として。さらにそこに、受診料を払っている視聴者からの『一般投票枠』を設けるというのは如何だろうか? その年の活躍に見合ったアーティストは当然選ばれるだろうし、売上げのみを基準にしているわけではないので、サプライズ企画も可能。さらに、“受診料を払っている視聴者”と選定することで、投票権欲しさに受信料を払う視聴者もいるかも知れないのでNHKにとってもプラスになる。

何かと批判を受けることもあるが、大みそかといえば、やはり『紅白歌合戦』。家族みんなが楽しめる純粋な音楽番組としてのクオリティを保ち続けることを切に願うばかりだ。

※同番組後半(後9:00~11:45)の数値  関東地区 ビデオリサーチ調べ

【調査概要】

調査時期:2015年1月5日(月)~1月8日(木)

調査対象:合計1000名(自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代~50代の男女)

調査地域:全国

調査方法:インターネット調査

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