「妖怪ウォッチ」興業収入爆発 ポケモン第1作との類似点とは

大高宏雄氏は興行収入は70億円台と予想する。大ブームを巻き起こしている『妖怪ウォッチ』の映画シーンにおける動向を、他の人気アニメ作品とも比較しながら考察する。
TO GO WITH STORY: Japan-entertainment-games-toy,FOCUS by Miwa SuzukiThis picture taken on August 12, 2014 shows 'Jibanyan', main character of popular 'Yo-Kai Watch', a nexus of manga comics, anime cartoons and computer games at an event to meet little children at a shopping mall in Tokyo. Move over Pokemon, a legion of new cutesy monsters are haunting Japan and set to break out all over the world after trampling the competition at home. Yo-Kai Watch shares with its predecessor Pokemon 'a very similar sort of collecting mechanism', where the main character battles monsters and then owns them. AFP PHOTO / Yoshikazu TSUNO (Photo credit should read YOSHIKAZU TSUNO/AFP/Getty Images)
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YOSHIKAZU TSUNO via Getty Images

『映画 妖怪ウォッチ』興収の着地は70億円台か 『ポケモン』第1作との類似点

記録的なスタートを切り、年末のNHK紅白歌合戦へのキャラクター出演の余韻も冷めやらぬなか、お正月映画興行のトップに立った『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』。公開からわずか16日で興収55億円に迫る破格の勢いをみせる同作に、早くも100億円超え確実と伝えるメディアもあるようだが、映画ジャーナリストの大高宏雄氏は70億円台が目安と着地を予想する。大ブームを巻き起こしている『妖怪ウォッチ』の映画シーンにおける動向を、他の人気アニメ作品とも比較しながら考察する。

◆多メディア展開を経た劇場版の興行が爆発

『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』が、2015年の正月興行でトップを走っている。興収を聞いて、驚いた。1月4日時点で、54億2423万円。公開16日間足らずで55億円近くまでもっていったのだから、恐れ入った。これで100億円は間違いないとか、無責任極まるコメントも新聞で見かけたが、それほど興行は甘くはない。今の段階では、70億円台あたりがひとつの目安といったところか。

とはいえ、とてつもない数字であるのは間違いない。親と子どもを主たる観客にした、他の大ヒットアニメと比較してみるのが一番わかりやすいだろう。まず『ドラえもん』。2000年以降では、だいたい20~30億円台で推移している。では『ポケモン』はどうかというと、こちらも30~40億円台がほとんどを占める。早い話、2000年以降(興収発表)で、この2シリーズが50億円を超えることはなかったのである。

ただ『ポケモン』の第1作(1998年)は、配収41億5000万円(※)を記録していた。興収換算すれば、優に70億円近い成績となる。第2作(1999年)は配収35億5000万円。こちらは、興収なら60億円あたりである。

こうした点から、『妖怪ウォッチ』第1作は、『ポケモン』第1作と現時点では極めて近い興行展開になっているのがわかる。ゲームソフトから火がつき、多メディア展開を経て劇場版が公開されたという共通点をもつこの両作品はともに、初発のブームのただなかで、興行が爆発したようにみえる。

◆3週目で早くも当初の勢いに陰り

ただ、気になる話も舞い込んできた。3週目に至り、早くも当初の勢いに陰りが出てきたというのだ。いわば、この業界でいうところの、スタート時の動員が“かぶり”過ぎたのだろう。まあそれも当然と言えば当然だが、正月の休み期間で、本作は主要な稼働をほぼ終えたとみていい。

劇場版は、なかなかおもしろかった。密やかな異物が住む『となりのトトロ』的な田舎の情景に度肝を抜かれ、『ドラえもん』の秘密道具的な設定にニヤリとした。主人公が言う「世界はともだち。全部守るぜ」の「ともだち」には、『20世紀少年』を思い出したりした。有名アニメなどへの描写的な“言及”は、『妖怪ウォッチ』の大切な隠し味になるだろう。これからもどんどん続けていってほしい。

おそらく、子どもたちは今の時点では、そのようなニュアンスはわからないにしても、“言及”の数々の片鱗は、映画を観た確かな記憶のなかに、強烈な何かとして残るに違いない。その何かが、子どもたちの将来にとって、映画を観る、アニメを観る楽しさの発見につながっていくのではないかと思う。

(文:映画ジャーナリスト・大高宏雄)

※配収:興行収入から劇場など興行側の取り分を差し引いた、配給会社の収益。1999年まで映画興行は配収で発表されていた。

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