植村隆氏、西岡力「救う会」会長を名誉毀損で提訴 1990年代の慰安婦報道巡り

北星学園大(札幌市)非常勤講師で元朝日新聞記者の植村隆氏が、西岡力氏と文芸春秋社を相手取り、謝罪広告の掲載や1650万円の損害賠償などを求める訴訟を1月9日、東京地裁に起こした。
Taichiro Yoshino

「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)会長で東京基督教大(千葉県印西市)教授の西岡力氏による1992年に雑誌「文芸春秋」に発表した記事などで名誉を傷つけられたとして、北星学園大(札幌市)非常勤講師で元朝日新聞記者の植村隆氏が、西岡氏と文芸春秋社を相手取り、謝罪広告の掲載や1650万円の損害賠償などを求める訴訟を1月9日、東京地裁に起こした。

弁護団によると、植村氏は1991年に元慰安婦へのインタビュー記事などを2本掲載。このうち慰安婦を「『女子挺身隊』の名で戦場に連行され」とした部分について、西岡氏が1998年ごろから「捏造」との主張を始め、雑誌「週刊文春」2014年2月6日号で「捏造記事と言っても過言ではありません」とコメントしたことなどが名誉毀損であり、民事上の不法行為にあたるとしている。また、週刊文春については同号で、植村氏の転職が内定していた大学名を掲載し、嫌がらせの電話やメールなどの攻撃を集中させたことがプライバシーの侵害にあたると主張している。神原元弁護士は「植村氏を中傷するメディアはほかにもある。順次訴えていく」としている。

参議院議員会館の支援者集会で発言した植村氏は「高校生の娘の顔写真がネットにさらされ、誹謗中傷が書かれた。長男と同じクラスの同姓の子まで顔写真がさらされた。8月の朝日新聞の検証記事掲載後、週刊誌の記者が自宅に張り付いて盗撮したり、近所に聞き込みをかけた。家族や大学への脅迫は言論ではなく犯罪だ。文春や西岡氏の記事が、結果的に言論テロを誘発した。法的な責任を取って頂きたい。司法の場でも、私が『捏造記者』ではないことを証明したい」と述べた。

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