女子大生が安全に帰れるように全財産を差し出したホームレスの男性 いま、彼の人生が大きく変わろうとしている

イギリスで、あるホームレスの男性が、深夜の夜道を一人で歩いていた女子大生が安全に家に帰れるようにと、全財産を渡そうとした。いま、その女子大生の感謝の気持ちが大きな広がりを見せている。

イギリスで、あるホームレスの男性が、深夜の夜道を一人で歩いていた女子大生が安全に家に帰れるようにと、全財産を渡そうとした。いま、その女子大生の感謝の気持ちが大きな広がりを見せている。

イギリス北西部のプレストンにあるセントラル・ランカシャー大学の女子大生ドミニク・ハリソン=ベンゼンさんは、彼女に全財産を渡そうとした男性と彼女の住む自治体に暮らしているホームレスの人々のために、3万2000ポンド以上を集めた

話の発端は12月始めのある夜、午前3時頃。ドミニクさんはパニックに陥っていた。「友達と遊びに出かけた帰り道でした……。(中略)友達を見失ってしまった上に、携帯の電池も切れてしまったんです」。22歳の彼女は、BBCラジオ5の取材にそう語った。銀行のキャッシュカードも失くしかけ(後に見つかった)、現金を一切持っていなかった。「一体どうやってタクシー代を払えばいいの?」と自問自答していたという。

ちょうどそのとき、あるホームレスの男性が彼女に近づいてきた。ロビーとだけ名乗ったその男性は、何かできることはないかと尋ねると、ポケットに手を突っ込んで入っていた小銭を全部取り出した。その額、3ポンド(約660円)。掴んだ小銭を彼女に差し出し、「これでタクシーを拾って安全に家まで帰りなさい」と強く言ったという。それは恐らく、ロビーさんの全財産だった。

彼女はロビーさんの勧めを断り、別の方法を見つけて帰宅した。だが、この親切な男性に出会ってから、彼のことが頭から離れなくなってしまったのだという。

それから数日、彼女はロビーさんを探しまわった。母親と一緒に通りを車で走ったり、ソーシャルメディアで居場所を見つけようとしたりしているうちに、ロビーさんのことが少しずつ分かってきた。ロビーさんは実は、他にも見知らぬ人を助けているホームレスの男性として評判の人だったのだ。ドミニクさんが12月9日にFacebookに投稿した文章によると、ロビーさんは例えば、拾った財布を手を付けずに道行く人に返したり、自分のスカーフを人に勧めて温まるようにと言ったりしたことで知られていた。

ドミニクさんがロビーさんと出会った4日後、やっと彼女はプレストン周辺を車で探しているときに、ロビーさんを見つけた。「もう会えないのかな、直接会って親切にしていただいたことにお礼も言えないのかなと、諦めかけていたところだったんです」と、イギリスのテレグラフ紙に語った。

ドミニクさんは、ロビーさんの人生を変えるための力になりたいと決めた。「ロビーさんが多くの人を助けてきたように、ロビーさんを助けたいんです」。

今月始め、ドミニクさんはロビーさんの名のもとに、資金集めキャンペーンを始めた。キャンペーンの一環として彼女は、ホームレスの人々が日々直面している「困難を理解する」ために自分で24時間路上で過ごすと宣言した。

「私に3ポンドの出資をお願いします。ロビーさんが、私になけなしの3ポンドを渡そうとしてくれたように」。ドミニクさんはキャンペーンの説明にそう書き、また、ロビーさんがアパートを借りるための資金にしたいと付け加えた。「私たちの小さな行動が一つになることでクリスマスに誰かの人生が変わり、最後には、路上から安全で暖かいところに連れていってあげることができるのです」。

ドミニクさんは12月16日、路上で夜を明かした。それは予想よりも「はるかに厳しい」体験だったという。資金集めの目標額は当初500ポンド(約10万円)としていたが、そんな目標はあっという間に吹き飛んでしまった

彼女の話があっという間に口コミで広がり、世界中のあちこちで人々の心を打ったのだ。

18日朝の段階で4800人の人々が募金をし、3万2000ポンド(約600万円)までにも到達した。

「まだまだ増え続けているんです」。ドミニクさんは、支援が絶え間なく続いている様子をテレグラフ紙に語った。「みんなが参加しようとするので、資金集めのサイトがダウンしてばかりなんです」と、これだけの反響を得られたことに非常に驚いた様子だ。

ドミニクさんは現在、このお金を分配する方法についてアドバイスを求めていると言う。そのうちいくらかはロビーさんに住居を用意するために使うつもりで、残りはプレストン地区にいるホームレスの人々をそれぞれ支援するために使いたいとBBCラジオに語った

「そして最終的に、この話で誰かが周りの人に親切にしてあげたいという気持ちに火をつけ、それができる範囲で広がっていくことになれば」と語っている。

ドミニクさんは、ミラー紙でこう述べている。「私のキャンペーンで、みなさんが周りの人々のことをほんの少し考えてあげるきっかけになればと思います。クリスマスは周りの人のことを考えるいい機会ですから。私のキャンペーンを目にした人が、ホームレスの人を見かけたときに、ちょっと立ち止まって話に耳を傾けてくれるといいですね」。

ドミニクさんへのBBCのインタビューは下の動画から。また、彼女の資金集めのページでは「ロビーさんの力になろう」キャンペーンの詳細を知ることができる。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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