シンガポールを拠点とする写真家ジェームズ・ベント氏は、2010年から、アジアの大都市のスタイリッシュな人たちをフィルムに収めている。
東京の少女。©2014 James Bent
ベント氏によると、ストリート・スタイルを発信するブログが比較的新しいコンセプトであるような台北、東京、ソウルといった都市でも、写真を撮られることを意識している人に会わずに歩き回るのは難しくなってきているという。
フランキー(台北)
ベント氏はハフポストUS版の電話取材に対し、「スペシャルな素質」を持つ被写体を見つけるために、意識的に、モデルや「ファッションピープル」を避けていると説明した。この「スペシャルな素質」は、一見価値のなさそうなものを素晴らしいものに変える能力で、「持って生まれた体格や顔などに関係なく、面白いファッションを身に付けることで特別になった人」に見られるというのだ。
リン・シュウ・ウェイ(台北)
フィン・ツァイ(台北)
12月にポートレート集『Asian Street Fashion』を刊行するベント氏は、常に「個性」に関心を寄せてきた。アマチュア作家でもあるベント氏は、元々は短編フィクションの題材になりそうな、面白いビジュアルの被写体を探すために、シンガポールで撮影を始めた。その時同氏が求めていたのは、完璧な着こなしをしていて、きつく張り詰めた人生を感じさせるような「パンク」たちだった。
ベント氏は次第にこの撮影という趣味にすっかりのめり込んでしまい、さらにアジア大陸を深く旅するにつれて、彼が抱いていた作家としての野望は、文化人類学的な探究に取って代わられてしまった。東京では、スカートとおさげ髪で少女のような格好をした女性たちを見つけた。香港で見られた「ミッシュマッシュ」(ごた混ぜ)スタイルは、この街の多様な歴史を反映しているとベント氏は言う。ソウルは同氏お気に入りの撮影場所だ。すっきりした線と重みのある生地が、「セクシー」で成熟したスタイルを生み出している。
チェ・ヘルンとチェ・ヒョン(ソウル)
チャックル(台北)
これらの都市の多く、中でもソウルと東京は、美容整形手術が多いことで有名だ。「どこへ行っても目にする」とベント氏は言う。「鉄道の駅の至る所に広告があり、人々は顔に包帯を巻いて平然と歩き回っている」
けれども同氏は、「素」の顔の人を探していると打ち明けた。そういう人は、「スペシャルな素質」が「体の奥から変わらなければいけない」という感覚から、彼らを守っているのだ、と同氏は語る。
チエ(大阪)
しかし、「モンスター」はどこにでも侵入してくる。「Style.com」のティム・ブランクス編集長は最近、現在流行のストリートスタイルを発信するブログは、ブランドの宣伝に使われるなどビジネス化されてきており、ちょうどTVのリアリティ番組と同じように、「モンスター化した人間」を生み出していると批判した。
ベント氏は、アジア大陸の中でも、まだストリートスタイルの狂気に染まっていない場所に撮影に行ってみたいと語る。「後ろに『スタン』が付くような(中央アジア・西アジアの)国々まで行きたい」と、ベント氏は期待を込めて言う。「そうした場所には、撮ってみたいものがいろいろあると思う」
イ・スンフン(ソウル)
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:湯本牧子、合原弘子/ガリレオ]
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