シドニー立てこもり事件、人質5人脱出 イスラム過激派の犯行か

オーストラリアの最大都市シドニー中心街のカフェで、武装した男が客などを人質にして立てこもっている事件で、警察は交渉担当者が犯人と連絡を取ったと明らかにした。犯人の動機についての言及は控えた。
Reuters

[シドニー 15日 ロイター] - オーストラリアの最大都市シドニー中心街のカフェで、武装した男が客などを人質にして立てこもっている事件で、警察は交渉担当者が犯人と連絡を取ったと明らかにした。犯人の動機についての言及は控えた。

事件は15日朝に発生。警察によると、武装した容疑者1人を確認しているが、複数いる可能性もあるという。カフェの店内にはアラビア語で書かれた黒い旗が掲げられており、イスラム過激派との関連も懸念されている。

午前中に警察が現場を包囲し始めてから、少なくとも5人の人質が建物内から逃げ出す様子が確認された。ニューサウスウェールズ州の警察当局者は、カフェ内に残っている人質の人数を特定しなかったが、先に伝えられていたような「30─40人ほど多くはない」と述べた。

豪テレビ局チャンネル7が伝えた映像では、武装警官がドアに近づく中、人質らが現場であるチョコレート店「リンツ」のカフェから離れる様子が確認できた。うち1人は、リンツのエプロンを着ていた。

同局の記者は、いまだに約15人の人質が店内にいるのが確認できたと述べた。

米国の忠実な同盟国で、シリアとイラクで対イスラム国掃討作戦を強化しているオーストラリアは、中東から帰還した自国出身の戦闘員による攻撃に対し、厳戒態勢を取っている。

アボット豪首相は、同事件の背景に政治的な動機がある可能性があるとし、「非常に憂慮すべき事件であり、オーストラリア国民の懸念と不安を理解できる」と語った。

人質事件の現場はマーティンプレイスと呼ばれる地区にあり、近くに豪準備銀行(RBA)などがある。

同地区にある主要銀行のオフィスは営業を停止。午前中までに地区内の大半が閑散となるなど、2人の犠牲者を出した1978年のヒルトン・ホテル爆破事件以来、シドニーで最大の治安体制が取られている。

ほかにも、観光名所「オペラハウス」では同日、不審物が見つかり、退避措置がとられた。地元テレビが報じた。

また、警察当局は、人質らがソーシャルメディアに投稿した容疑者の要求について監視していることを明らかにした。

豪テレビ局ネットワーク・テンは、人質となっている2人の女性から電話があり、シドニーのある場所に2つの爆弾を仕掛けたと容疑者が主張していると報じた。

また、人質が書き込んだとみられるソーシャルメディアへの投稿によると、容疑者はアボット豪首相と直接会話することを要求しているという。

警察当局者は、こうした報道について「われわれの戦術的な対応の一部」だとし、容疑者の要求に関してはコメントを拒否した。

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