投票する権利を、どうか無駄にしないでください――。
民主的な選挙を求める抗議デモが、3カ月以上にわたって続いた香港。デモに参加した若者たちが、12月14日の日本の衆院選投票日へ向けて、メッセージを寄せた。自らの手でリーダーを選べることが、いかに尊いことなのか、日本の人々に気づいてほしいという。
香港では、2017年に行われる香港政府トップの行政長官を選ぶ選挙から、有権者1人1票の投票が可能となる「普通選挙」が導入される予定だった。これまでの香港行政長官選挙は、経済界や職能団体、宗教界などの代表ら1200人で構成される選挙委員会のみにしか投票が許されない間接選挙。それが、有権者350万人以上による直接選挙に変わることになったのだ。
しかし、中国の全国人民代表大会・常務委員会は8月31日、現在の選挙委員会を「指名委員会」として存続させ、この委員会で過半数の指名を得た者のみに出馬を許すと決定。さらに、候補者は2〜3名に絞るとした。
元々、選挙委員の任命は北京が影響力を持っており、8割が親中派とされる。確かに行政長官は市民の投票で選ばれるが、これでは中国政府に都合のいい人間しか立候補できない。投票したい人が居ないということになってしまう。この決定に反発した若者らが、民主的な選挙を求めて香港の中心部を占拠。「雨傘革命」として世界に報じられた。
「私たちは自分たちでリーダーを選ぶことができません。自分たちでリーダーを選びたいんです」
デモ参加者らは、日本へのメッセージの中で、投票権が自分たちにどれほど重要かを訴える。そして、投票する権利を“無駄にしないで”と、呼びかけた。
「日本のみなさんにとって、民主的な選挙は当たり前のことなのかもしれません。
民主主義と共に生まれ、自由と共に育ってきたのかもしれません。
でも私たち香港の人々は、闘わなければ民主主義を手に入れることはできません。
民主的な選挙があれば、好きなように未来が描けます。
歩みたい未来を掴むために、よりよい未来のために投票することができます。
あなたには国を良くする力があります。
そして社会を変える力もあります。
だからぜひ投票に行ってください。
どうか、投票する権利を無駄にしないでください。
日本の皆さんが、自らの手でリーダーを選べるということがいかに尊くいかに稀有なことであるか、気づくことを願っています」
動画を作成したのは、若い世代の投票率を上げる活動を続ける学生団体ivote関西のメンバーら4人。代表で京都大学法科大学院に通う徐東輝(そぉ・とんふぃ=23)さんが発案し、学生の柴田奈々さん(21)と箕田直人さん(21)が11月に現地で取材を行い、社会人の長谷川ちかさん(24)も加わって動画を完成させた。
香港の若者に日本の若者の投票率が低いことを伝えると、心からのメッセージを語ってくれたという。徐さんはハフポスト日本版の取材に対し、「若者のみんながもっている『投票できる権利』は涙が出るほど素晴らしい権利なんです。みんなは未来を創れるんです。どうか、日本の未来を創りにいってください」とコメント。衆院選の投票へ足を運ぶよう、呼びかけた。
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