将棋のアマチュア強豪で、会社員の今泉健司さん(41=広島県福山市)が12月8日、東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われたプロ編入試験第4局で石井健太郎4段に勝ち、対戦成績3勝1敗で合格した。2015年4月にプロデビューする。47NEWSなどが報じた。
2006年に制度化された試験の初の受験者で、合格にはプロの新人棋士5人と対戦して3勝することが条件だった。日本将棋連盟によると、41歳でプロ入りするのは戦後最年長という。
(アマ今泉さん悲願のプロ棋士に 将棋の編入試験に合格 - 47NEWSより 2014/12/08 17:42)
通常、プロ棋士になるためには、日本将棋連盟のプロ棋士養成組織である「新進棋士奨励会(奨励会)」の会員になり、奨励会の会員同志で対局を重ねて四段に昇段する必要がある。
一方で奨励会には、満26歳の誕生日を含む三段リーグ終了までに30人のうちの上位2人に入り四段に昇段できなければ退会となる厳しいルールもある。今泉さんは1987年、中学2年(14歳)のときに奨励会に入会したが、1999年、26歳の時に年齢制限のため奨励会を三段で退会していた。NHKニュースによると、奨励会退会後、今泉さんは地元の将棋教室で指導に当たるかたわら、調理師として飲食店で働くなどしていたという。
ところが、2006年5月、過去1年の6つのアマチュア全国大会のいずれかで優勝し、かつ四段以上のプロ棋士から推薦があれば受験できる「奨励会三段リーグ編入試験」という制度ができる。今泉さんは2007年、33歳の時に三段リーグ編入試験に合格。見事、奨励会への復帰を果たしたが、2年の間に四段に上がるという条件を満たせず、2008年、再び奨励会を退会した。朝日新聞デジタルによると、2回目の退会後は、広島県福山市の介護施設で働いたという。
今回のプロ編入試験も三段リーグ編入試験の創設と同時期に設けられた。実力のあるアマチュア棋士が、竜王戦(アマ枠5人)や棋王戦(同1人)などプロの公式棋戦に挑み、6割5分以上の勝率で10勝以上することで受験資格が得られるというものだ。
今泉さんは2014年7月、プロの新鋭10人にアマチュア強豪10人が挑んだ「朝日杯将棋オープン戦」で規定を満たす10勝4敗となり、プロ編入試験の受験資格を獲得。編入試験では9月の第1戦を皮切りに12月8日までの4戦を戦い、27年がかりの夢をかなえた。
過去に奨励会を経ずにプロに編入した棋士には故花村元司九段と瀬川晶司五段がいるが、現在の制度で合格したのは今泉さんが初めて。今泉さんは対局後、「(合格は)うそみたい、うれしいです。自分の将棋を見て、面白かったと言ってもらえるような棋士になりたい」と話した。その後の記者会見では「可能性にふたをしないかぎり、年齢は関係ないと思いますので、可能性を信じてこれからも戦っていきたい」と抱負を述べた。
今泉さんは2015年4月に、ランク最下位の「フリークラス」からプロ棋士生活を始めることになる。10年以内に「C級2組」に昇級しなければ引退になる厳しい戦いが続く。日本将棋連盟の谷川浩司会長は、今泉さんのプロ編入試験合格について、次のように激励した。
「プロ入りまで30年近く、しかも2回プロ入りのチャンスを逃して、なお情熱を持ち続け努力を継続したのは、想像できないくらいすごいことと思う。彼の長所は元気の良さと将棋の粘り強さ。アマチュアの人の気持ちも他のプロよりよくわかると思う。将棋の普及でも活躍してほしい」
(今泉健司さん、戦後最年長41歳で将棋プロ棋士に:朝日新聞デジタルより 2014/12/08 19:32)
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