ドローンが旅客機とニアミス、イギリス・ヒースロー空港 世界で増える異常接近

英ヒースロー空港近くの上空で今夏、一般客を乗せた旅客機がドローン(小型無人航空機)と異常接近していたことが、わかった。この件には最も危険度の高い「Aランク」の評価が下されるだろう、と伝えられている
Richard Newstead via Getty Images

イギリスのヒースロー空港近くの上空で今夏、一般客を乗せた旅客機がドローン(小型無人航空機)と異常接近していたことが、新たな報告からわかった

このニアミスは、7月22日に最高180名が搭乗できる「エアバスA320」が、高度700フィート(約213メートル)を飛行していた時に起きた、とロンドン・イブニング・スタンダード紙は報じている

イギリス民間航空局の異常接近調査委員会「UK Airprox Board」は、この件に関する報告書を12月12日に発表する予定。イギリスのガーディアン紙はこの件には最も危険度の高い「Aランク」の評価が下されるだろう、と伝えている。同調査会のウェブサイトによれば、Aランクとは、「深刻な衝突の危険性があった異常接近」を意味する。

イギリス航空操縦士協会のジム・マクオズラン事務局長はBBCに対して、「10キログラムの小型無人航空機が航空機にぶつかるという現実的な危険性に、パイロットは大きな懸念を抱いている」と述べた

同事務局長は、2009年にニューヨーク発シアトル行きのUSエアウェイズ1549便がハドソン川に不時着水した事故に言及し、「着陸態勢に入っているパイロットにとっては、小さなドローンであっても危険な障害物であり、衝突すれば深刻な事態を引き起こしかねない」と述べた。この事故では、エンジンが大型の鳥を複数巻き込んで停止した。不時着水に成功して犠牲者は1人も出ず、「ハドソン川の奇跡」と呼ばれた。

ドローンと航空機などとのニアミス事故は、近年増加傾向にある。2014年5月には、ロンドン・サウスエンド空港への着陸準備をしている定員74席の旅客機「ATR 72」から80フィート(約24m)以内の至近距離を、クワッドコプター1機が飛行したという事件もあった。異常接近調査委員会は、その飛行経路と高度から、着陸する旅客機との衝突を意図したものだろうと述べている

現在、アメリカ国内の空港付近でドローンを飛ばすことは禁止されている。しかし、ワシントン・ポスト紙による6月23日付けの報道によれば、アメリカで起きた航空機とドローンの異常接近件数は、ここ2年間で15回にのぼっている。2014年3月にはアメリカでも、フロリダ州タラハシーの空港近くで、高度600メートル付近を飛行していた旅客機とドローンが衝突しそうになる出来事があった

アメリカ連邦航空局(FAA)は先ごろ、ドローンの取り締まり強化を決めたと、CNNが報じている。なお、日本では、航空機とのニアミス事件は報道されていないが、2014年4月には名古屋の繁華街で夜間に空中撮影をしていたドローンが墜落事故を起こすという事件があった

文末スライドショーは、ドローンで撮影された様々な動画を紹介している。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]

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