これまでで最悪の規模で広がっているエボラ出血熱は、今なお終息を迎えそうにない。ここ数週間、アメリカのテレビやソーシャルメディアではエボラ熱に関するニュースはほとんど見られなくなったが、西アフリカでは今もなお被害が拡大している。
エボラ熱の広がりは、最も深刻な被害を受けたリベリアとギニアで緩やかになっている。世界保健機関 (WHO)はこの2カ国で患者の隔離が成果を上げていると述べた。だが専門家は、感染の拡大が収まりつつあるといっても確実なものではなく、簡単に元の状態に戻ってしまうだろうと警告する。「エボラウイルスは楽観的ではいられれない」と、WHOの事務局長補佐ブルース·アイルワード氏は12月1日に述べた。エボラ出血熱は隣国のシエラレオネで広がり続けており、これら西アフリカ3カ国の経済は危機に瀕している。
1976年に初めてエボラ出血熱を発見した科学者の一人であるピーター·ピオット氏は、エボラ出血熱の広がりは改善ではなく、悪化してしまうかもしれないと警告を発している。「エボラ出血熱が一人の感染者から始まったことを忘れてはいけない。つまり、最後の感染者が亡くなるか、他人に感染することなく回復するまでは、エボラ熱との戦いは終わらない。私たちは気が遠くなるほど困難な戦いに直面している」とピオット氏は述べた。
これから紹介するエボラ出血熱に関する統計の数値は、西アフリカの保健衛生状態が、今でもどれほど危機的な状況にあるかを表し、この致死的な感染病を克服するために地球規模の努力が必要だとわかる。
11月28日現在、報告されているエボラ熱の発生数(WHO調べ)。すべての事例、そして死亡例のうち15件以外のすべてが、エボラ熱の影響が最もひどかったギニア、シエラレオネ、そしてリベリアの3ヵ国で起きた。
12歳のイサタ・カロンくんの死を悼む家族。2014年11月23日、フリータウン、シエラレオネで撮影 (Nikki Kahn/The Washington Post via Getty Images)
11月の3週間の間に、シエラレオネで増加したエボラ出血熱発生数のパーセンテージ。ギニアとリベリアでのウィルスの広がりはわずかに減っていると報道されているが、シエラレオネではエボラ出血熱の発生数は急増している。
エボラ熱の患者が確認された国の数。リベリア、ギニア、シエラレオネ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国、そしてマリ共和国だ。
11月23日現在、エボラ熱に感染した医療従事者の数。最も被害を受けたアフリカの3カ国で333人の医療従事者が命を落とした。
2014年11月21日、ギニアの赤十字の職員がマセンタ近くのパトリスでエボラ熱の犠牲者の遺体を運んだ。(KENZO TRIBOUILLARD/AFP/Getty Images)
シエラレオネ南部にある唯一のエボラ熱治療センターで、リスク手当の未払いに抗議するストライキを起こした医療従事者の数の概数。またシエラレオネのケネマ市でも、埋葬の従事者が手当の未払いからストライキを起こし、抗議の意味を込めて15体の遺体を中央病院の外に放置した。
ギニア、リベリア、そしてシエラレオネで、エボラ熱のため孤児になった子供たちの数(UNによる概算)。「孤児たちは通常親戚によって引き取られるが、一部のコミュニティではエボラ出血熱への恐怖が家族の絆よりも強くなっている」とUNICEFの西·中央アフリカ地域のディレクターであるマヌエル·フォンテーヌ氏は指摘する。
エボラ出血熱の影響を受けた地域で、世界食糧計画から支援を受けた人の数。数千人の人々が、食料を確保するため隔離の制限を突破しなくてはらないと、13の人道的救援活動団体を統括する緊急災害対策委員会(DEC)は11月に警告している。
エボラ熱出血治療センター建築現場にいるアメリカ海軍とリベリアの部隊。2014年10月11日、リベリアのタブマンバーグにて撮影 (John Moore/Getty Images)
アメリカの国防省が、西アフリカでエボラ出血熱と戦うために配備する予定の米軍兵士の総数。11月末までにはすでに約2200の米軍が通称「オペレーション・ユナイテッド・アシスタンス」と呼ばれるエボラ対策活動の一環として配備された。
世界銀行が調べた、2014年と2015年にシエラレオネ、リベリア、そしてギニアがエボラ出血熱の発生で被る経済的コストの概算。12月1日に世界銀行が発表した最新の報告書では、保健衛生状態の悪化で危機が高まり、最悪の被害を受けている3カ国の経済成長が弱まるか成長が見込めなくなると警鐘を鳴らしている。
世界銀行が予想する最悪のシナリオで、エボラ出血熱の発生によって地域経済に与えるコストの概算。
EUの諸機関が約束したエボラ出血熱対策支援のうち、実際に提供された支援のパーセンテージ「(貧困撲滅を目指すキャンペーン「ONE」」調べ)。アメリカが提供した支援のうち、およそ73%がすでに配布された。ONEの国際保健政策の責任者エリン・ホルフェルダー氏は、ニュースメディア「Daily Beast」に「支援物資がないままに一日一日が過ぎていくごとに、人々を助ける機会を逃すことになる」と話している。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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