人類は、人工知能を大きく進歩させてきた。無人自動車はもはやSFの世界にとどまらないし、ロボットが膨大な労働力の代わりとなる日は近いかもしれない。コンピューターのワトソンはアメリカのクイズ番組ジェパディ!で優勝してしまった。
確かに、どれもすごいことだ。しかしスティーブン・ホーキング博士は、これを不吉な予兆とも捉えている。
BBCのインタビューに対して、ホーキング博士は次のように語った。「完全な人工知能を開発できたら、それは人類の終焉を意味するかもしれない」
ホーキング博士は「人工知能が自分の意志をもって自立し、そしてさらにこれまでにないような早さで能力を上げ自分自身を設計しなおすこともあり得る。ゆっくりとしか進化できない人間に勝ち目はない。いずれは人工知能に取って代わられるだろう」と語った。
人工知能の進化に人類が歩調を合わせることができる能力を、人工知能が上回ることになる、いわゆる「技術的特異点」についてホーキング博士は既に懸念を表明している。5月、イギリスの新聞「インディペンデント」に掲載された論説で博士は「人工知能の発明は人類史上最大の出来事だった。だが同時に、『最後』の出来事になってしまう可能性もある」と述べている。
こう懸念しているのはホーキング博士だけではない。スペースXおよびテスラモーターズのCEOであるイーロン・マスク氏は、先月「人工知能にはかなり慎重に取り組む必要がある。結果的に悪魔を呼び出していることになるからだ。ペンタグラムと聖水を手にした少年が悪魔に立ち向かう話を皆さんもご存知だろう。彼は必ず悪魔を支配できると思っているが、結局できはしないのだ」と言っている。
しかし、警鐘を鳴らす人ばかりではない。シアトルのアレン人工知能研究所のCEOであるオレン・ エツィオーニ氏は、先日ウェブサイトRedditのAMA(何でも質問に答えるスレッドで「Ask Me Anything」の略)で、「私は人工知能を恐れていませんし、みなさんも恐れる必要はありません」と投稿した。
エツィオーニ氏は、次のようにも説明した。「たとえば100万年後、特異点を迎える可能性はあります。けれど賢いコンピューターが世界制覇するという終末論的構想は『馬鹿げている』としか言いようがありません。私は、この分野で25年以上研究を続けている立場から、人間が進歩し続けても、知能が暴走するようなことはないと申し上げたい。文字を読み、理解できるプログラムはどんどん進化しているが、そのプログラムがどこかに勝手に走り出してしまう危険は全くないだろう」
この記事は最初にハフポストUS版に掲載されたものです。
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