フィギュアスケート男子の羽生結弦(19=ANA)が11月8日、中国・北京で開かれているフィギュアスケート・グランプリシリーズの第3戦で、練習中にまさかの事故に見舞われ負傷したが、本番を滑りきり2位に入賞した。
この日行われたフリーの得点は154.60。前半の4回転ジャンプは失敗したが、後半の3連続ジャンプを決めて滑りきり、ショートプログラムの82.95と合わせて総合得点は237.55となった。優勝はロシアのマキシム・コフトゥン(19)で243.34だった。
事故はフリー演技前の練習時間に起きた。勢いをつけて後方へ滑っていた羽生が体勢を変えて振りむいた瞬間、中国の閻涵(えんかん、18)と正面から激突。そのまま顔面からリンクに倒れた。
羽生はしばらく仰向けに倒れたままだったが、一旦、立ち上がろうと試みる。しかし、起き上がることができず、救護隊が羽生の肩を抱えてリンクの外へ誘導する事態に。出場が見送られるかとみられたが、頭とアゴにテーピングを施して、羽生はリンクに姿を表した。
今季、羽生がフリーに選んだのは「オペラ座の怪人」。冒頭に4回転が2回、また、後半にはトリプルアクセルを始めとする3回転ジャンプが繰り返される構成だ。羽生は最初の4回転ジャンプを3回転に回避したり、2回目の4回転ジャンプで転倒したりもしたが、後半の3連続ジャンプを決め、最後まで滑りきった。得点が発表されると、羽生の瞳からは涙があふれた。
この大会を中継するテレビ番組の解説を務めていた織田信成氏は、転倒した4回転ジャンプについても回転していたことを評価。「ただただ、すごいの一言。4回転、回ってましたから。普通の人だと、これだけのケガのあとは回ることすらできないと思います。しかも後半に、トリプルアクセル―シングルループ―トリプルサルコウの連続ジャンプを決めていて、強い。すごいとしか言いようがない」と述べた。
また、番組に出演していた元プロテニスプレイヤーの松岡修造氏は「ぼくは羽生さんのことを誇りに思う。彼はこれからいろんな経験をしていくと思いますが、こんな状況で、こんな逆境で、こんな苦しいなかで戦った経験というのは、とんでもなく生きてくる。これを日本の子供たちはどんなふうに感じるか。あきらめるなとか、無理だとか、そういう言葉では片付けられない。普通の人ではできない」と語った。
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