「イスラム国」と戦う女性戦士たち「クルド人を守り、包囲された難民を救出する」

「イスラム国」の女性蔑視的な考え方は、単に無礼であるだけでなく、まったく根拠のないものだ。それを証明しているのが、シリアとイラクにおいてイスラム国と戦う、数多くの女性たちだ。

イスラム過激派組織「イスラム国」(旧称ISIS)は、女性の能力に関して、狭い視野しか持っていない。女性にできることといえば、せいぜい夫を支え、新世代の聖戦士を産むことくらいだと彼らは考えている。結婚にふさわしいと見なされない女性の場合、最も有効な活用方法は性奴隷にすることだとされる。

だが、彼らの女性蔑視的な考え方は、単に無礼であるだけでなく、まったく根拠のないものだ。それを証明しているのが、シリアとイラクにおいてイスラム国と戦う、数多くの女性たちだ。

ハフポストUK版の独占レポートでは、スウェーデンの放送ジャーナリスト、ハザル・ファテミ氏が、イラクで戦う女性たちを取材している(動画を冒頭に掲載)。

この女性たちは、トルコの武装組織「クルド労働者党」(PKK)の支援を受けながら、イスラム国と戦っている戦士たちだ。

自身もクルド人女性であるファテミ氏は、今回の取材で女性戦士たちに、なぜ戦うのか、イスラム国との戦いをどう思うか、いまは国を持たないクルドの人々にとっての希望とは何かを訊ねている。ファテミ氏が取材した時点では、話をしてくれた女性戦士たちは、苦境にあるクルド人を守り、包囲されたクルド人少数派ヤジディ教徒の難民を救出するために戦っていた。

PKKは、アメリカなどからテロ組織として指定されている。PKKが数十年にわたって展開してきた反政府運動において、暴力的な戦術を用いてトルコ政府に抵抗してきたためだ(ただし、シリアやイラクとの国境地帯でイスラム国の脅威が高まるなか、トルコ政府はPKKとの和平交渉を進めている)。

トルコとシリアにおける自治権獲得をめざすクルド人たちの戦闘においては、数十年前から、女性戦士が重要な役割を果たしてきた。左翼的思想を掲げるPKKでは、女性戦士の自由と自主性の程度は、アメリカが戦略的パートナーと位置づけるサウジアラビアなど、中東の他の国の女性たちよりも高いのだ。

クルド人たちが暮らすシリアの町コバニ(アインアルアラブ)を防衛するために、PKKと連携するシリアのクルド人勢力「民主統一党」(PYD)に参加して戦っている戦士のうち、3分の1女性だ。

ソーシャルメディアなどで広がるコバニ関連の報告では、過激なまでに戦うクルド人女性戦士が注目されている。たとえば、イスラム国の戦闘員100人を殺したとされる女性戦士や、自爆してイスラム国を食い止めた別の女性戦士の話が伝えられている。

なお、以下の動画は、ハフポストが2013年8月に掲載した(日本語版記事)、「女性だけのクルド人武装部隊」を紹介するものだ。ここで紹介されている「The Woman's Protection Unit」(女性防衛隊)はPKK系で、19歳から25歳までの女性だけで構成。女性戦士らはシリア北東部で2週間の軍事訓練を受け、故郷で軍事運動に参加するとされている。

この記事はハフポストUK版に掲載された英語の記事を翻訳したものです。

[日本語版:梅田智世、合原弘子/ガリレオ]

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