民主的な選挙を求める抗議デモが続いている香港で10月21日夜、香港政府の幹部と学生団体の代表が初めての対話を行った。
2時間に及ぶ対話の中で、学生側が2017年の行政長官選挙を巡る中国の決定の撤回を求めたが、政府側は受け入れられないという立場を強調。対話は物別れに終わり、学生側はデモ隊に道路の占拠継続を呼びかけた。
NHKニュースは会談の様子を、次のように報じた。
学生側は「中国の全人代=全国人民代表大会がすべてを決定するのはおかしい」として、中国の決定の撤回を求めるとともに、一定の住民の支持があれば誰でも立候補できる仕組みの導入を求めました。
これに対して、政府側は「香港は独立した政治体制ではなく、中国を無視することはできない」と述べ、撤回を拒否する姿勢を強調しました。
(香港 政府と学生団体が初めての対話 NHKニュース 2014/10/21 23:37)
香港では、行政長官選挙に関する中国の決定が民主派の立候補を事実上不可能にするものだとして、学生や市民が9月28日から3週間以上にわたって3カ所の幹線道路に座り込みを続けている。
事態の打開を目指して、学生団体と政府は双方から5人ずつが出席した。対話の様子がテレビ中継される中で、「今すぐ自由を」と書かれたそろいの黒いTシャツ姿で臨んだ学生側。これに対して香港政府側は、ナンバー2の林鄭月娥(りんてい・げつが)政務官が出席したという。
政府側はナンバー2の林鄭月娥(りんてい・げつが)政務官(閣僚)をトップとし、学生側は「大学生連合会」(学連)の周永康秘書長ら学生団体幹部が顔をそろえた。司会者をはさんで相対したテーブルに着いた両者。テレビで生中継される中、対話が始まった。
(香港デモ:主張の応酬2時間 政府側が対話継続求める - 毎日新聞 2014/10/21 23:39)
民主化をめぐって、政府と学生団体が直接対話するのは、「一国二制度」の下で「高度な自治」が保障されている香港でも極めて異例だった。
■中国政府に都合のいい人間しか立候補不可能
民主化を求めるデモが激化したのは、香港トップの行政長官を決める選挙制度が、中国の国会に当たる「全人代」で8月31日に確定したことが原因だ。
最大3人の候補者を選ぶのは約1200人の「指名委員会」で、委員の任命は中国が影響力を持っている。そのため、行政長官は市民の投票で選ばれるが、中国政府に都合のいい人間しか立候補できない仕組みになっていた。
これに対し、デモ隊を組織する民主派のグループは、一定数の市民の支持があれば誰でも立候補できる「住民指名」の制度の導入を求めていた。今回の対話でのやり取りを、毎日新聞が次のように報じている。
「中国の決定は香港の民主主義の道を切り裂くものだ」。学生側はこう非難しながら、住民の署名で一定の支持を得れば立候補できる「住民指名」の仕組みが導入されればデモ隊を解散する考えを明らかにした。
だが、学生側の主張にじっと耳を傾けていた林鄭政務官は、「住民指名」について「香港基本法に適さない」とはっきりと退けた。
(香港デモ:主張の応酬2時間 政府側が対話継続求める - 毎日新聞 2014/10/21 23:39)
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