新幹線の50年は日本の50年の歩みでもある 写真で振り返る現代史【画像集】

東海道新幹線が10月1日で開業50年を迎えた。総走行距離は約20億キロで地球を5万周した計算になり、総乗客数は56億人にのぼる。あまり知られていない話も含め、写真で主な歴史を振り返った。

東海道新幹線が10月1日で開業50年を迎えた。総走行距離は約20億キロで地球を5万周した計算になり、総乗客数は56億人にのぼる。あまり知られていない話も含め、写真で主な歴史を振り返った(写真はすべて時事通信社提供)。

1964年10月1日 開業

初代「0系」は最高時速210キロ、東京~新大阪間は4時間で結んだ(のちに3時間10分に短縮)。東京オリンピック開幕を10日後に控え、日本の高度成長を世界にアピールした。その後、岡山博多へと延伸し、東京~博多の東海道・山陽新幹線が完成する。

1965年5月7日 昭和天皇夫妻が初乗車

鳥取県米子市の植樹祭に出席するため、8両編成の特別列車で出発した。

1972年4月25日 横井庄一さんが乗車

新幹線に乗車したこと自体が大きく報じられた頃。グアム島に敗戦後28年間残留していた元日本兵の横井さんが、帰国後の故郷訪問で新幹線を利用し、28年間の進歩に驚く様子が報道された。1974年にはやはり29年間、フィリピンに残留していた小野田寛郎さんも乗車したことがニュースになった。

1973年2月21日 初の脱線事故

新大阪~京都間で回送列車が脱線する事故が発生。大事故には至らなかったが、ダイヤは大幅に乱れ、乗客はホーム上の「列車ホテル」に泊まったり、在来線に設定された臨時列車で運ばれたりした。

1974年9月5日 食堂車が営業開始

「ひかり」に連結された食堂車は定員42人。ジュース、ハムエッグ、パン、コーヒーの洋朝定食は700円だった。それまでのビュッフェに比べ最大2倍の値段設定だったという(朝日新聞1974年9月5日付夕刊)。2000年に廃止された

1975年5月10日 国鉄ストで英女王の乗車キャンセル

賃上げを求める国鉄のストが長期化し、来日中だったエリザベス英女王夫妻の京都行きが、新幹線から空路に変更された。夫妻は12日の帰路で乗車した

1978年10月26日 鄧小平氏が乗車

日中平和友好条約の批准書交換のため来日した鄧小平副首相(当時)は、この日の「ひかり81号」のグリーン車に乗車。感想を問われ「後ろからムチで打たれて追いかけられているような感じだ」「私たちが今、必要としているのは、早く走らねばならないということだ」と述べたという(1978年10月27日付朝日新聞朝刊)。

1982年6月23日 東北新幹線開業

大宮~盛岡が開業し、「0系」に耐雪機能を強化した「200系」が投入された。11月15日には上越新幹線も開業する。

1985年10月1日 2階建て新幹線導入

21年ぶりの新型車両「100系」は、最高時速を10kmスピードアップしたほか、初の2階建て車両も連結していた。写真は2階に乗車した昭和天皇

1992年3月14日 「のぞみ」誕生

新たに導入された「300系」は最高時速が220kmから270kmにアップし、東京~新大阪間は30分短縮され2時間半となった。2時間半を実現するために名古屋駅を通過するのぞみは「名古屋飛ばし」と話題になった。

1995年1月17日 阪神大震災で高架崩落

6000人以上が死亡した大震災で、兵庫県内の山陽新幹線は高架橋が崩落し、新大阪~姫路間は復旧に3カ月を要した。営業運転開始前の発生で、新幹線の乗客らのけが人はなかった。

1997年11月29日 500系「のぞみ」、東京駅乗り入れ

1990年代はJR3社(東日本、東海、西日本)が実験車両による最高速度競争を繰り広げた。JR西日本が開発した最高時速300kmの「500系」は、飛行機のような外観が子どもに人気だった。現在は新大阪以西の山陽新幹線で「こだま」として使われている。

2000年2月16日 初の女性運転士が乗務

前年の労働基準法改正で女性の深夜労働の制限が撤廃されたことで、JR東海の辻内理枝子さんが、東京発名古屋行き「こだま453号」に初乗務した。

2004年5月18日 新幹線、初の海外輸出

台湾を南北に貫く「台湾高速鉄道」(2007年開業)に、新幹線700系をベースにした「700T」型が導入されることになり、神戸市の川崎重工から運搬船に積み込まれた。

2011年3月12日 青森から鹿児島が新幹線でつながる

東日本大震災の翌日、九州新幹線の博多~新八代が延伸開業したことで、新青森(東北新幹線)から鹿児島中央に至る新幹線のネットワークが完成した。写真は熊本城を背景に試運転するN700系「さくら」。

2015年3月の北陸新幹線延伸開業で、新幹線網は2600kmを超す。将来のさらなる延伸も予定されており、財源が大きな課題となる。

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