日立製作所は9月26日、国内の課長以上の管理職を対象に、10月から賃金体系を改めると発表した。年齢や勤続年数に応じて、役職や給与を自動的に引き上げる「年功序列」を廃止し、担う職務や仕事の成果に応じて給与を支給する仕組みに切り替える。一般社員への導入も検討するという。47NEWSなどが報じた。
現行制度に残る年功的な部分を完全になくす。いま担っている仕事内容や責任の重さ、成果を直接的に反映する仕組みに見直す。
比較的若い人や中途採用で勤続年数の短い外国人でも仕事内容に応じて高い報酬が得られるようにして意欲を高め、国際的な競争力を向上させる狙い。今後、国内外のグループ各社に新制度を広げる。(47NEWS「日立製作所が年功廃止 管理職の賃金見直し」より 2014/09/26 12:25)
■年功序列を廃止、若手や中途入社の社員などの意欲を高めるのが狙い
日立製作所では、これまで管理職の社員について、給与全体の70%を年齢や勤続年数に応じた年功序列の制度で支給し、残りの30%を仕事の内容に応じて支給してきた。
今回の見直しで、若い人や勤続年数の短い外国人などでも仕事内容に応じて、高い報酬が得られるようになる。
日立製作所は、グローバルに共通の基準を用いて、役割や評価と報酬との関係を明確化することで、経験者、女性、外国人などを含む多様な人材の意欲を高め、国・地域や会社の枠を超えた「適材適所」を促進するとしている。今後国内外のグループ約950社に適用していくという。
■年功序列、日産自動車は廃止 ソニーやパナソニックも検討
年功序列は、終身雇用と並び、戦後の日本企業における雇用制度の大きな特徴とされてきた。どちらも同じ企業で長い間安定的に働くことができるメリットがあったが、現在の状況に合わせて雇用や賃金体系の見直しを進める動きも生まれている。
日産自動車は管理職の社員について年功序列を廃止したほか、ソニーやパナソニックも2015年度からの廃止を検討しているという。
■35才未満の若手社員の47%、初めて勤務した会社で働いていない
厚生労働省が25日に発表した「若年者雇用実態調査」によれば、民間企業で働く35歳未満の若手社員の47.3%は現在、初めて勤務した会社で働いていないという。
また若手社員の4人に1人が「転職したい」と考えており、仕事内容ややりがいには7割近くが満足しているが、賃金への不満が多く、4割近くが転職先には「賃金の条件がよい会社に変わりたい」と回答している。
■政府の政労使会議、29日再開 賃金体系の在り方議論
政府は、経済界や労働界の各代表によって行われる政労使会議を29日に再開する。外国人など多様な人と働く機会が増え、転職が一般的となった現在の状況に合わせた賃金体系の見直しが求められる。
年功序列型の賃金体系を見直し、労働生産性に見合った賃金体系の在り方などを議論する。毎月1回程度開催し、12月に合意文書を取りまとめる方針だ。(中略)
今年の会議では、賃金体系の在り方やこれまでの取り組みのフォローアップのほか、働き方・休み方の見直し、人手不足への対応などが論点となる。(時事ドットコム「政労使会議、29日再開=年功賃金見直し議論」より 2014/09/25 17:43)
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