エマ・ワトソン、国連で男女平等を訴えてネット上で脅迫される

国連でのスピーチを受けて、ネットでは、ワトソンさんを脅迫する者たちが現れた。彼女のヌード写真を流出させるというのだ。

映画「ハリー・ポッター」シリーズでハーマイオニー役を演じた女優のエマ・ワトソンさんは9月20日、ニューヨークの国連本部で「男女平等を目指す闘い」への参加を男性たちに呼びかける印象的なスピーチを行い、「HeForShe」と呼ばれるキャンペーンの開始を発表した。

国連組織「UNウィメン」の親善大使を務めるワトソンさん(24歳)は、自分の体験にも触れたスピーチの中で、「この闘いに女性しか加わらないのであれば、性の平等を勝ち取るのはほとんど不可能です」と語った。

だが、このスピーチを受けて、ネットでは、ワトソンさんを脅迫する者たちが現れた。彼女のヌード写真を流出させるというのだ。

問題となっているのは、「EmmaYouAreNext.com」(エマ、次はお前だ)というウェブサイト。ジェニファー・ローレンスさんやケイト・アプトンさんらセレブのヌード写真流出事件の中心となった匿名画像掲示板「4chan」(日本の「ふたば☆ちゃんねる」に影響されて2003年に設立された、英語圏向けの画像掲示板)のユーザーらが作ったとみられる。

今のところ、このサイトにはほとんど何もなく、4chanのロゴと、ワトソンさんのぼやけた顔写真、それに9月24日午前0時(米国東部標準時)までの時間をカウントダウンする時計が掲載されているだけだ(もっとも、少し前にこのサイトを見たときにはカウントダウンが今週末までとなっていたことから、時計は調節されているようだ)。

音楽やカルチャー関係のニュースを扱う「Death and Taxes」サイトは、ワトソンさんのスピーチ後に4chanに投稿された書き込みの一部を掲載している

たとえば、「あのクソフェミニスト女のエマが、自分が他の女と同様の売春婦だってことを世界に向けて晒すらしい」という書き込みがある。

また、「国連でバカげたフェミニスト・スピーチをしたあの女の裸がネットで晒されるってよwwwwwwwww」という書き込みも見られた。

フェミニストを支持する人たちは、今回のワトソンさんに対する脅迫は、男女平等のための闘いがなぜ重要であるかを明確に示すものだとして、激しく非難している。

「写真が公開されようと公開されまいと、ワトソンさんに対する脅迫は、すでにすべての女性を攻撃しています」と、アマンダ・トーブさんは「Vox」の記事で述べている。

ワトソンさんは、国連のスピーチでこう語っていた(上の動画)。「わたしは6カ月前に国連親善大使に任命されましたが、フェミニズムについて話せば話すほど、"女性の権利を得るために闘うこと"が、"男性を憎むこと"と同じ意味として受け取られる場合があまりに多いことに気付き始めました。わたしが確信していることがあるとすれば、こうした事態は終わる必要があるということです」

「私フェミニストであろうとする決断が、自分にとって難しい事態を招くとは思っていませんでした。しかし最近、自分なりに調べた結果、フェミニズムは好ましくない言葉として使われていることがわかりました。」とワトソンさんは続ける。「実際、私は表現が過激で、あまりに強力で攻撃的であり、協調性がなく、男性嫌いで、そして魅力的じゃない意見を言う女性として分類されているようなのです」

ワトソンさんは、この闘いは女性だけのものではない、と訴えた。「男性がジェンダーの固定概念に縛られていることをふだん話題にはしません。しかし私にはそう見えます。そして、男性がそうした固定観念から自由になれば、女性の側にも自然に変化が訪れるはずです」

「男性たちの娘、姉や妹、そして母親が偏見から解放されるだけでなく、彼らの息子たちも弱さを持つ人間であっても許されるように。彼らが手放した自分らしさを取り戻し、そうすることでより本物で完全な姿の自分になれるように」

追記1

EmmaYouAreNext.comのウェブサイトは4chanユーザーが作成したとみられ、これまではエマ・ワトソンのヌード写真をリークさせると主張していた。しかし、ソーシャルメディアのマーケティング会社「Rantic」によるでっち上げと判明した。Ranticは4chanの閉鎖を狙って意図的に行った。24日朝、EmmaYouAreNext.comはRanticのウェブサイトにリダイレクトされている。

追記2

実際には、Ranticは存在しない。この企業は、セレブのヌード写真のリークに対抗するキャンペーンのための広報を行うための会社だと説明していた。しかしビジネスインサイダーのレポートによると、Ranticは実際にはネット上に作られた架空の会社だった。「Ranticマーケティングという会社は偽物だ。数多くあるスパム業者の連中が作ったものだ。彼らは手っ取り早くページビューを稼ぐために、ネット上のトレンドに乗っかっただけだ」とビジネスインサイダーは記している。

[Emily Thomas, Lauren Duca(English) 日本語版:佐藤卓、合原弘子/ガリレオ]

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