アメリカ航空宇宙局(NASA)は、国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を運ぶ事業を、イーロン・マスク氏がCEOを務める「スペースX」社と、航空大手のボーイング社の宇宙船に委託すると9月16日に発表した。
2011年にスペースシャトルが退役してから、アメリカは有人宇宙飛行をロシアのソユーズ宇宙船に頼ってきた。ウクライナ情勢をめぐってロシアとの関係が悪化したことで、自国の技術で宇宙飛行士を運搬する必要があると判断したようだ。
両社が宇宙船を所有し、ISSまで宇宙飛行士を届けて帰還するまでの運用も行う。委託金額はボーイング向けが約4500億円、スペースX向けが約2800億円となっている。両社は試験飛行を経た後、NASAの委託を受けるかたちで2~6回、ISSまでの有人飛行を行う予定だ。
宇宙船を打ち上げるロケットについて、宇宙ニュース専門サイトの「sorae.jp」では次のように報じている。
ボーイング社が開発しているのはCST-100と呼ばれるカプセル型の宇宙船で、打ち上げはロッキード・マーティン社が開発したアトラスVロケットを使用する予定だ。スペースX社が開発しているドラゴンV2もやはりカプセル型の宇宙船で、こちらは自社開発したファルコン9ロケットを使い打ち上げられる。
( sorae.jp「NASA、民間有人宇宙船の開発にボーイング社とスペースX社を選定」より 2014/09/17)
■NASAは「火星旅行」に集中へ
2030年代に火星探査を目指す有人宇宙船「オリオン」をNASAは開発している。民間企業にISSへの輸送を委託することで、NASAは巨額の費用が必要となるオリオン計画に集中したい考えだ。チャールズ・ボールデン長官は、フロリダ州のケネディ宇宙センターで次のように話した。
「オバマ政権は以前から、地球上でもっとも偉大な我が国が、宇宙への輸送手段を他国に頼るべきではないことを明確に打ち出していました。オバマ大統領のリーダーシップ、そしてNASA職員や民間企業のハードワーク、そして議会のサポートのお陰で、アメリカの大地から私たちの宇宙飛行士を送り込むことに一歩近づいています。2017年までに、ロシアへの依存を終了することができそうです。地球の低い軌道の輸送を民間企業に任せることで、NASAは『火星に人間を送る』という野心的なミッションに集中できるようになります」
(NASA「宇宙飛行士をISSに運ぶためNASAはアメリカ企業を選んだ」より 2014/09/16)
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