[ワシントン 27日 ロイター] - オバマ米政権は、イラクとシリアで支配地域を広げているイスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」掃討に向け、各国との協力体制を強化する方針だ。複数の政権幹部が27日、明らかにした。多国籍軍の編成も視野に協力を呼びかけているという。
米政権幹部は、英国とオーストラリアが米国に協力する可能性があると述べた。ドイツは27日、「イスラム国」への攻撃の可能性について米国、その他の国と協議に入っていることを明らかにしたが、参加するかどうか明言を避けた。
米国務省のサキ報道官は会見で「われわれのパートナーと取り組んでおり、パートナーに対しどのような貢献が可能か聞いている。貢献には、人道面、軍事、情報収集、外交的といろいろな形がある」と述べた。
米国の呼びかけに何カ国が応えるかは不明。米国が信頼する同盟国の英国やフランスなどの国には、2003年のイラク攻撃をめぐる苦い思いがある。この時は、イラクが大量破壊兵器を保有していると主張する米国に38カ国が同調して大規模な多国籍軍が編成されたが、結局、大量破壊兵器は発見されなかった。
米政権幹部は、必要なら米国は単独で戦う可能性もあるとしている。
今週、ホワイトハウスの高官が集まり、「イスラム国」への攻撃を拡大する戦略について協議。「イスラム国」の重要拠点であるシリア東部への空爆も俎上(そじょう)に上がったもようだ。
イラク政府は、米軍の空爆を歓迎しているが、シリアのアサド大統領は、許可なく攻撃すれば侵略行為とみなすと警告している。シリアへの空爆は、現在イラクで実施している作戦よりリスクが高い。
ワシントンの英国大使館は、米国から空爆の要請は来ていないとしている。アボット豪首相の報道官は、イラクでの人道的な支援は続ける可能性があると述べたものの、米主導の軍事行動に参加するかどうかについては明言を避けた。
米政権幹部は、人道支援や「イスラム国」の攻撃拠点への攻撃が比較的成功していることで、新たな軍事行動に参加することに対する同盟国の懸念が和らぐことを期待している。
米国の同盟国のなかで、協力に慎重とみられる国の一つがフランス。フランスは昨年、シリアのアサド政権の化学兵器を使った攻撃を米国とともに激しく非難していた。しかし、その後オバマ大統領がシリアへの攻撃をしないと決定。フランスは「はしごを外された」格好となった。
仏外交関係高官は、米のシリア攻撃断念で「我が国は面目をつぶされた」とし「昨年のような事があっただけに、今回、米国が何か決定した場合、われわれは何らかの協力をする前に非常に強固な保証を必要とするだろう」と語った。
米政権幹部によると、オバマ政権は幅広い国に協力を呼びかけている。具体的には、トルコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、ヨルダン、英国、フランス、オーストラリア、ドイツなど。多くは「イスラム国」の勢力を抑えたいと思いながら、軍事行動への参加に及び腰だという。
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