セントルイス警察は8月20日、黒人男性ケイジーム・パウエルさん(23)が射殺された際の携帯電話動画を公開した。パウエルさんは19日、2人の警官に射殺された。ミズーリ州セントルイスの地元ラジオ局「セントルイス・パブリッシュ・ラジオ」が報じた。
通報の録音によると、パウエルさんが店の飲料とドーナッツを盗んだと疑ったコンビニ店主が警察に通報(911通報)した。別の女性も通報し、パウエルさんが挙動不審で「ポケットにナイフを持っている」と伝えていた。
この携帯動画によれば、通報を受けて警官2名がパトカーで出動している。警官たちが車を降りると、パウエルは「さっさと自分を撃て!」とわめき散らしながら、警官たちに近づいた。
セントルイス警察のサム・ドットソン署長は19日、パウエルがナイフを「上段に振りかざした」体勢のまま、1メートルほどの至近距離まで来たところで、警官は2名とも発砲したと述べた。
しかし新たに公開された携帯電話の映像には、パウエルさんが警官に接近する様子は映っていたが、発表にあったほど近くはなく、また両手も下していた。警官たちは到着から15秒以内に発砲を開始し、パウエルさんには多数の弾丸が命中した。
セントルイス警察は動画と911通報音声を公開したが、セントルイス・パブリック・ラジオはこれを「透明性を確保するためのもの」だと報じている。
この射殺事件は、マイケル・ブラウンさんがファーガソン近郊で8月9日に警官に射殺された現場から6キロも離れていない場所で発生した。
ハフィントンポストUS版はセントルイス警察にコメントを求めたが、現在のところコメントは発表されていない。
ドットソン署長は20日にテレビ出演し、射殺した警官たちを擁護したが、19日に行った自らの説明と動画に矛盾があることを認めた。「確かにパウエルさんは両手を下していたが、彼はナイフを持ったまま警官に接近していた」とドットソン署長はCNNに語っている。
「警官たちは、あなたや私がしたはずのことをしただけだと思います。彼らはあの状況で自らの生命を守ったのです」とドットソンは述べた。
CNNのレポーター、ドン・レモンとクリス・クオモは、警官たちは殺傷力の高い銃ではなく、テーザー銃(相手に電気ショックを与える器具スタンガンの一種)など別の方法で身を守るべきだったのでは、とドットソン署長に食い下がった。
「確かにテーザー銃という選択肢も可能性としてありましたが、テーザー銃では万が一の場合があります」とドットソンは述べた。「ナイフを持った何者かが、こっちに来るとします。しかも何を言っても聞かず、ずっと『俺を撃て、今すぐ殺せ』と言い続けているやつです。テーザー銃では万が一の場合があります。もしテーザー銃が効かなければ、やつはそのまま警官を襲ったでしょう」。
「命にかかわる状況だったから、彼らは殺傷力のある銃を使ったのです」と彼は続けた。
セントルイス・パブリック・ラジオの911番通報を聞き、下の動画を見てみよう。どちらにも映像と会話が含まれているのに、ご注意いただきたい。
【※閲覧注意】この動画には射殺シーンが含まれます
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