なぜ1本の木に40種類のフルーツが? 鬼才が生み出した「植物のフランケンシュタイン」(画像)

もし、私たちが食べる食物が将来どのように栽培されるのか研究したいというのなら、どこから始めればいいだろうか。当然かも知れないが、現代アートの世界から入るといい。

もし、私たちが食べる食物が将来どのように栽培されるのか研究したいというのなら、どこから始めればいいだろうか。当然かも知れないが、現代アートの世界から入るといい。

アメリカ人アーティストのサム・ヴァン・エイケンのウェブサイトを見てみるといい。ヴァン・エイケンは、芸術的な彫像と農業の奇跡とも言える植樹を融合させようとしている。文字通り、彼の努力は混成や変成といった形象の変化、という形で結実しようとしている。それは、芸術において慣れ親しまれたテーマだ。

彼のプロジェクトは、「40のフルーツの木」と呼ばれ、今もなお続いている。ヴァン・エイケンは、植物のフランケンシュタインを作り出し、一つの植物から40種類のフルーツを生み出せるようにした。そのために、彼は違った種類の果樹を接ぎ木した。マッドサイエンティストの研究室でよく使われる手法かもしれない。

ヴァン・エイケンはまず、数種類の木を1本の木の根の部分に継ぎ、彼の「ワーキングツリー」を最低2年間、成長させる。それから、さらに違った種類を枝先に足していく「チップ・グラフティング」という手順に進む。ヴァン・エイケンは、芽接ぎ用の枝を作業する木の切り込みに差し込んむ。そしてここで(まさかの)テープで留める。枝を、ごく普通にある植物の付属器官として機能させる。この工程は1本の木につきおよそ5年かかる。これまでに16本の「40のフルーツの木」を作り出した。

木31-21Cミュージアム・ホテル、ベントンビル、アーカンソー

「私は農場で育ってきたから、接ぎ木の工程を見ることができました。一つの生き物の切片が、ほかの生きているものの切り込みに差し込まれて、成長を続けられることに魅了されてきたのです」とヴァン・エイケンは述べた。「この高揚感が発展していって、接ぎ木を性的なものの象徴としてみるようになったくらいです。オウィディウスの『変身物語』や、現代のフランケンシュタインのようなものですね。こうした物語に書かれているように、私はこの木が物語の題材になってもらいたいと思っています」

木69-ルイビル、ケンタッキー

桃、プラム、さくらんぼから、アプリコット、ネクタリン、アーモンドまで、ヴァン・エイケンの花開く芸術作品は、アメリカ全土の都市で見ることができる。ニューメキシコのサンタフェ、ニュージャージーのショートヒルズ、ケンタッキーのルイビル、ニューヨークのパウンドリッジ。その木々を見ても、一年の大半はほかの木とかわらない外見のままだ。しかし、春になると突然、真の美しさを発揮する。ピンクや紫に彩られる。そして夏の時期がやってくると、40の実が姿を現す。

ここで、ヴァン・エイケンの木の写真を見てみよう。コメント欄で、彼が芸術と科学を融合させようという試みについて、あなたの意見を聞かせてほしい。彼のウェブサイトでは、ほかの作品も見られる。ハフポストの取材で彼が言ったように、彼の葉と幹のある陶酔状態は、奥が深い。「私はおそらく何日もの間、木について話し続けることができるでしょう」。

木35-ショートヒルズ、ニュージャージー

木71-パウンドリッジ、ニューヨーク

English Translated by Gengo

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