国内3位の航空会社・スカイマークは8月6日、成田空港を発着する国内線について、撤退を検討していることを明らかにした。成田と札幌(新千歳)、米子(鳥取県)、那覇とを結ぶ便を、夏ダイヤ最終日の10月25日をもって廃止する見通しだという。不採算路線から撤退することで、経営の立て直しを目指す。毎日新聞などが報じた。
スカイマークは現在、札幌(新千歳)、那覇、米子との間の1日6往復12便を運航している。しかし、6月の搭乗率は札幌67.9%、那覇64.5%、米子28.1%といずれも羽田発着の便を下回っている。今後も改善の見通しが立たないことから、10月末にも運休することにした。成田空港内の事務所も閉鎖する。成田を拠点にした国際線への参入計画も抜本的に見直す。
(毎日新聞「スカイマーク:成田撤退へ…国際線参入計画見直し」より 2014/08/06 11:33)
現在、国内線だけを運航するスカイマークは、収益拡大のためニューヨークなどと結ぶ国際線への参入を目論み、2011年に1915億8500万円を投資して、エアバス社から二階建ての超大型機A380を6機導入する契約を結んでいた。すでに3機分の一部としてエアバスに265億円を支払い済みで、2014度中にも2機が納入され、成田―ニューヨーク間が就航する予定だった。
しかし、円安による燃料費高騰や格安航空会社(LCC)の参入による競争激化を受け経営環境が悪化。円安で支払額も膨らんだこともあり、2012年3月末に306億円あった手元資金は、2014年3月末には70億円にまで大幅に減少した。
このため2014年4月からはエアバスと計画の変更に向けた協議を進めてきたが、エアバス側は契約変更の条件として、スカイマークに対して身売りを要求。スカイマークが拒否した場合、エアバスは700億円規模の「常識を逸脱した法外な違約金」を請求すると提示した。
スカイマークは成田の発着枠を36保有しており、どの航空会社も「のどから手が出るほど欲しい」状況だと東洋経済オンラインは分析している。スカイマークは独立路線を保ちたい考えで、「他社の傘下に入ることなど考えられません」という考えを表明した。西久保慎一社長は「ウチがなくなれば、航空業界は10年前に戻ることになってしまう。それだけは何としても避けたい」「どんなに会社を縮小しようが、独立した形で今後も第三の航空会社として営んでいきたい」と訴える。
A380を導入できなくなったことで、エアバス社は既に導入している中型のA330を使って、シンガポールやハワイ、バンコクなどへの国際線就航を検討している。
A380は標準タイプで座席数は525席で世界最大。スカイマークが所有するA330-300機は、通常のエコノミー席なら440の座席を設置できるところを、ゆったりしたスペースの「グリーンシート」を導入したことで271席とA380の半分程度の席数となっている。
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