ロシア政府、国内のマクドナルドを提訴 アメリカとの関係悪化で標的に

ロシア連邦消費者庁(ロスポトレブナドゾル)は25日、米ファストフード大手マクドナルド
Reuters

[モスクワ 25日 ロイター] - ロシア連邦消費者庁(ロスポトレブナドゾル)は25日、米ファストフード大手マクドナルド

インタファクス通信によると、消費者庁の長官でロシアの首席衛生検査官でもあるアンナ・ポポワ氏は「マクドナルドの法令違反を特定した。それは同社の全チェーン店舗における製品の品質と安全性に疑問を投げかけるものだ」と述べた。

マクドナルドは1990年にロシアに最初の店舗を開業し、旧ソ連崩壊の真っただ中で繁栄する米国流資本主義の象徴的存在となっていた。しかし、ウクライナ危機と米国による相次ぐ対ロ制裁で米ロ関係は冷戦後の最悪レベルに達しており、マクドナルドはロシア政府による攻撃対象として狙い撃ちされた格好だ。

消費者庁は以前、グルジアが米国との関係を強化するとグルジア産ワインの輸入を禁止したり、モルドバが欧州連合(EU)との連携を強化した後にモルドバの蒸留酒の輸入を禁止したことがある。このため、消費者庁はロシア政府の政治的な利害に沿って動いているとの非難を浴びてきた。

モスクワの裁判所はロイターに対し、消費者庁が6月にマクドナルドの店舗検査を実施した後、消費者庁の地方支部がマクドナルド製品の製造と販売を違法と宣言するよう訴えを起こしたことを明らかにした。

消費者庁は、マクドナルドがロイヤル・チーズバーガーとフィレオフィッシュなどのカロリーのほか、ミルクシェークとアイスクリームに含まれる栄養分を消費者に偽って表示したと指摘した。

また声明によると、サンドイッチのシーザーラップとサラダからは大腸菌が検出された。

マクドナルドは当局からは何の苦情も受理しておらず、訴訟に関する情報は得ていないとしている。カロリーと栄養分はロシア機関の承認を得た方法論に基づいて計測していると説明した。

裁判所の広報担当者によると、8月13日に予備審理を開き、9月に本審理が予定されている。

マクドナルドはロシア国内で約400店舗を営業し、北米地域外の主要7市場の1つと捉えている。

ただ、ロシアによるクリミア併合を受けて欧米諸国が発動した対ロ制裁に従い、クリミア地方の店舗は閉鎖した。

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