イスラエルとパレスチナの紛争は、先行きがまったく不透明な状況にある。そんな中、ユダヤ系とアラブ系の異文化カップルや家族が、ソーシャルメディアを利用して、個人レベルでは憎悪の波に巻き込まれてはならないとメッセージを送っている。
「Jews and Arabs Refuse to Be Enemies(敵同士になることを拒否するユダヤ人とアラブ人」というキャンペーンを始めたのは、ニューヨーク在住のイスラエル人学生アブラハム・ガットマンさんと、その友人でシリア人のダニア・ダルウィーシュさんだ。
「ダニアと私は、政治に関する意見が常に一致するわけではありません」と、ガットマンさんは米ハフポストに寄せたメールで述べている。「でも、どんな時でも、互いに侮辱したり憤慨したりすることなく、議論を戦わせることができます」
「ここ1カ月、ソーシャルメディアのアカウントにログインするのがつらい日々が続きました。憎しみに満ちたコメントであふれていたからです。私たちは、そういった発言を良いと思わない人々が集うコミュニティーを作り、誰もが結局は、みな同じ人間であることを思い出してほしかったのです」
その後、レバノン系アメリカ人ジャーナリストのシュローム・アンダーソンさんと、彼女の恋人でユダヤ系のジェレミーさんが、ツイートを投稿したことで、このキャンペーンは世界的な現象となった。この写真は以来、数えきれないほどリツイートされている。
アンダーソンさんは「ザ・ニューヨーカー」誌へ寄稿した文章でこう述べている。「戦争前に、イスラエルとハマスの緊張が高まっていたとき、私とジェレミーはよく議論しました。それは論争になり、闘いになったときもあります。私はなぜ彼がイスラエル寄りの立場をとるのか理解できませんでしたが、その後、彼はイスラエルにいたときに、バスが爆破されたのを目撃していたことを知りました。彼は暴力を、別の側から見ていたのです」
「戦争状態になると、私たちの意見は一致していきました。私たちは大事な価値を共有していたからです。人々の生命を尊重し、大事に思うという価値です」
「私はジェレミーに、ガザで撮影された胸が締めつけられるような写真をいくつか見せました。大半の人間は、小さな子どもの傷だらけの遺体を目にすると心が痛み、その短い生涯と、彼らの命を奪った戦争に対して無念の思いを抱きます。私は何も、今すぐ全面的に合意すべきだと言っているわけではありません。しかし、私たちはある点については意見が一致しています。それは、これが政治だけの問題ではないこと。これは人間性についての問題だということです」
アンダーソンさんの父親は、第5次中東戦争とも言われるレバノン内戦がもっとも熾烈を極めた1983年に、AP通信社の中東支局長として赴任した。その2年後、アンダーソンさんが生まれる3か月前に、のちにヒズボラとなるシーア派イスラム主義の武装集団に拉致され、7年近くにわたって監禁されていたという。
アンダーソンさんの写真が投稿されて以来、ハッシュタグ「#JewsAndArabsRefuseToBeEnemies」のついた投稿が急増し、異宗教間カップルや友人、子どもたちの写真が数多くツイートされた。イスラエルやパレスチナだけでなく、他の中東諸国やヨーロッパ、北米からも寄せられている。
#JewsAndArabsRefuseToBeEnemiesはすばらしい運動であり、支持します。虐殺を止めてください。
「ぼくたちはアラブの子供たち。ぼくたちの親友はユダヤ人だよ」「ぼくたちが一緒に遊べるのに、大人たちはなぜそうできないの」
「私の母はイスラム教徒で、ユダヤ人の父と結婚しました。私は、笑いと愛にあふれた家族のなかで育ちました」
「ホロコーストを生き抜いたこの男性は、私がロサンゼルスで行った講演を聞いたあとで、一緒に写真を撮ってほしいと言ってくれました」
「ジャスミンはイスラエル人。オサマはパレスチナ人。幸せな家族」「私たちは家族。別の道がある」
「私の母はユダヤ人。私の父はパレスチナ人。私は二人によく似ている」
「私の母はユダヤ人。私の父はイスラム教徒。私は、自分自身の敵になんてなれない」
「私はイスラエルから来たユダヤ人」「私はパレスチナから来たイスラム教徒」「私たちは一緒にやっていけるはずだ」
「いろいろな年齢の人がそう思っている」
「私の恋人はレバノン人。私はユダヤ系カナダ人で、イスラエルと強いつながりがある。私たちは平和を選ぶ」
「母はユダヤ人、父はパレスチナ人。私たちがどんなに苦しんでいても、憎しみは状況をさらに悪くする」
「ブルックリンからも平和を。ユダヤ人とアラブ人のカップルである私たちは、一緒に平和に住んでいる」
[(English) 日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]
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