イスラエル人の一部には、ポップコーン片手にガザ空爆を見物している不届き者もいる(画像)

イスラエル人の若者たちがガザ地区境界付近にある丘の頂上に集まり、ポップコーンを片手に、すぐ近くで行なわれている空爆を眺めながら歓声をあげるところを撮影した写真がツイッターに投稿された。

イスラエル軍による、パレスチナ自治区ガザ地区への攻撃が続いている。そんな中、イスラエル人の若者たちがガザ地区境界付近にある丘の頂上に集まり、ポップコーンを片手に、すぐ近くで行なわれている空爆を眺めながら歓声をあげるところを撮影した写真がツイッターに投稿された。

撮影地点は、イスラエル南部の都市スデロットで、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスによるロケット弾攻撃を頻繁に受けている場所でもある。撮影者は、デンマーク「Kristeligt Dagblad」紙の記者アラン・ソーレンセン氏だ。

ソーレンセン記者はその光景を、まるで野外の映画上映会のようだったと表現した。ここ1週間ほど続いているイスラエル軍によるガザ地区空爆の様子を見渡せる良い場所を探していたときに、たまたま人が集まっているところに行き当たったのだという。

「私はジャーナリストですから、状況をより詳しく把握するために、イスラエル軍がガザ地区を空爆する様子を見渡せる場所を探していました」。ソーレンセン記者は、7月11日に写真を投稿した後、フランスのニュース専門チャンネル「France 24」に対してそう語った

「人々がこの丘について話していたので、激しい攻撃のあった晩に行ってみました。丘のふもとにたくさん車が駐車されていたので驚いたのですが、頂上にのぼると、60人くらいが集まっていました。立っている人もいれば座っている人もいましたが、折りたたみ式の椅子に座ってリラックスしている様子に驚きました。水タバコを吸っている人たちもいましたし、野外の映画上映会に参加しているかのようにポップコーンをほおばっている人たちもいました」

「爆撃が行われると拍手が起こる」

「ハマスをやっつけるイスラエル軍を見に来たんだ」。イスラエルに住む22歳のアメリカ人、エリ・チョネ氏はソーレンセン記者にそう話した。「周りの人を見てほしい。彼らはこの町の住民で、毎日のように攻撃を受けている。イスラエル軍が平和を実現させるのをみんなで座って見ているんだよ」

チョネ氏の友人のアーロン・デュー氏もこう述べた。「ここはすごい場所だよ。攻撃の振動を肌で感じられるし、ロケット弾も見える。本当に興奮するよ。昨日は、この丘のすぐ下にロケット弾が落ちたんだ」

ソーレンセン記者はこのように語っている。「60代に見える人たちもいましたが、子供は見ませんでした。おそらく、その丘の周辺があまり安全ではないからでしょう。丘は(ハマスの)射程範囲であり、その数日前には、ふもとにロケット弾が撃ち込まれていますから」

ソーレンセン記者の写真投稿に対しては、怒りのこもった反応が投稿されている。

「殺人が公共の娯楽になるなんて、人々の道徳心はどうなっているのか。現代とは思えない」

「どの民族であれ、どこの死であれ、死を祝うことは忌まわしい。それは、このコミュニティがどこかとは無関係だ」

ここ数カ月、イスラエルとパレスチナの間では緊張が高まっている。最も大きな波紋を呼んだのは、3人のイスラエル人少年がヒッチハイク中に誘拐され、殺害された事件だ。その後、イスラエル人の若者集団が報復行動に出て、パレスチナ人少年1人を誘拐し、生きたまま焼き殺した疑いを持たれている(日本語版記事)。

「両サイドとも、これまでにないほど感情的になっています」と、ソーレンセン記者は指摘する。「この写真を公表して、状況を一面からのみ報道していると私を批判する人もいますが、パレスチナ側でも似たような反応が見られます。例えば、3人のイスラエル少年誘拐殺害を祝って指を3本突き立てた人々です」

ソーレンセン記者は、3人のイスラエル少年を殺害したことを祝うとされるケーキの画像をリツイートしている。

国連安全保障理事会が停戦を呼びかけたものの、イスラエル軍はその要望に応じず、ハマスとの関連が疑われる民間施設を標的にするなど、ガザ地区に対する攻撃の幅を広げている(日本語版記事)。また、7月13日早朝にはイスラエルの地上部隊がガザ地区に初めて侵攻し、パレスチナ自治区の長距離ミサイル発射拠点を襲撃したと伝えられた

今回の戦闘が始まって以降、パレスチナ側の犠牲者は156人以上にのぼっている。国連の推測では、ガザ地区での死者の77%は民間人だという。

[(English) 日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]

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