「在日特権を許さない市民の会」(在特会)のメンバーらが、京都朝鮮第一初級学校(京都市、現・京都朝鮮初級学校)の周辺で繰り広げた人種差別的な表現の演説や街頭宣伝(ヘイトスピーチ)に対し、朝鮮学校側が名誉毀損にあたるとして損害賠償を求めていた裁判の控訴審で、2審の大阪高裁は7月8日、在特会側の控訴を棄却し、1審の京都地裁に続いて在特会側に約1226万円の高額賠償と街宣の差し止めを命じた。
8日の2審の判決で、大阪高等裁判所の森宏司裁判長は「団体の街宣活動が、社会的な偏見や差別意識を助長し増幅させる悪質な行為であることは明らかで、民族教育の運営に重大な支障をきたしただけでなく、今後も被害が拡散、再生産される可能性がある」と指摘しました。
そのうえで「人種差別という不条理な行為によって、児童や園児が被った精神的な被害は多大であったと認められる」と指摘し、1審に続いて活動を行った団体に1200万円余りの支払いと学校から半径200メートル以内での街宣活動の禁止を命じました。
(NHKニュース「ヘイトスピーチ 2審も賠償命令」より 2014/07/08 13:49)
1審の京都地裁は、日本が加盟する人種差別撤廃条約に照らした「効果的な救済措置」として、異例の高額な賠償と街宣禁止を命じていた。
一審判決によると、在特会の会員らは2009年12月~10年3月、当時京都市南区にあった同校周辺で、「キムチ臭いで」「保健所で処分しろ、犬の方が賢い」「朝鮮半島へ帰れ」などと3回にわたり演説した。
(中略)
一審判決は演説内容が日本も加盟する人種差別撤廃条約に照らして「人種差別」にあたると判断。そのうえで「条約の責務に基づき、人種差別行為に対する効果的な救済措置となるような額にすべきだ」として高額の賠償を命じた。
(朝日新聞デジタル『ヘイトスピーチ「街宣差し止め」一審支持 朝鮮学校妨害』より 2014/07/08 11:43)
原告側は判決を評価し、日本社会の差別根絶への動きが強まることに期待を寄せた。在特会側は上告する方針という。
閉廷後、大阪市内で記者会見した原告の京都朝鮮学園(京都市)、孫智正(ソン・チジョン)理事長(57)は「在日コリアンに対する差別や偏見に影響されることなく、正義を貫徹した裁判官に感謝と敬意の念を伝えたい。今回の判決が、差別を許さないという日本社会の動きを後押しすることを期待する」と語った。
弁護団の冨増四季(とみます・しき)弁護士(京都弁護士会)は「日本での朝鮮学校の民族教育についても法的保護の対象であると認定しており、1審判決より踏み込んだ判断となっている」と評価した。
(毎日新聞『ヘイトスピーチ:子どもの心の深い傷「差別許さない」判決』より 2014/07/08 13:24)
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