ウクライナ軍、親ロシア派の軍事拠点スラビャンスクを奪還 州都ドネツクでは戦闘継続か

ウクライナの大統領府は声明で、ウクライナ軍が7月5日、親ロシア派の軍事拠点となっていた東部ドネツク州の都市スラビャンスクを奪還したと発表した。

ウクライナの大統領府は声明で、ウクライナ軍が7月5日、親ロシア派の軍事拠点となっていた東部ドネツク州の都市スラビャンスクを奪還したと発表した。BBC他が報じた。

アルジャジーラによると、ウクライナのアーセン・アバコフ内務大臣は親ロシア派がウクライナ軍からの攻勢を受けてスラビャンスクから撤退したと発表した後、大統領府から声明が出された。

「ウクライナの国旗が、ウクライナ軍の隊列が並ぶ前にスラビャンスクの市庁舎に再び掲げられた」と、ウクライナ大統領の公式ウェブサイトで声明が発表された。朝日新聞デジタルは次のように伝えている。

親ロシア派は4月から東部ドネツク、ルガンスク両州の各地で政府関連庁舎を占拠しているが、東部全体の交通の要所に当たるスラビャンスクでは、早くから武装勢力が市全体を要塞(ようさい)化。軍が制圧作戦を始めて以来、住民を巻き込んで激しい戦闘が続いてきた。これまでに約13万の人口の半数以上が市を脱出し、避難民になったとされる。

(朝日新聞デジタル「ウクライナ軍、親ロ派の「要塞」市制圧 ロシアは批判」より 2014/7/5 21:20)

アバコフ内務大臣はFacebookページで、「親ロシア派が、かなりの数の兵力が撤退した。その途中、我が軍は彼らに『挨拶』をした。彼らは損失を被り、包囲されて苦しんでいる」と述べている。

CNNによると、ウクライナ軍がスラビャンスクに隣接するクラマトルスクの奪還にも成功したとウクライナ首相府が発表した。

親ロシア派の兵力は市民がいる住宅地や他の施設に潜んでいたため、スラビャンスクの掃討作戦は困難を極めたと、ウクライナのアンドリー・リセンコ国防・安全保障大臣は述べている。

■ 親ロシア派、州都ドネツクに集結して戦闘継続か

親ロシア派は撤退後、ウクライナ東部の主要都市ドネツクに集結しているとみられる。BBCによると、親ロシア派はドネツクでの戦闘継続を宣言し、今回の撤退は戦略的なものとしている。

ポロシェンコ大統領は5日から親ロシア派との停戦交渉を行うことを提案していたが、今回の戦闘により、延期される見通しと時事通信が伝えている。

政権は6月30日に停戦を延長せず、対テロ軍事作戦を再開・本格化させていた。

5日にはロシアと欧州安保協力機構(OSCE)の仲介の下、ウクライナと親ロ派が停戦などをめぐる交渉を予定していたが、インタファクス通信によると延期される見通し。大統領は東部の制圧を加速させた上で交渉を有利に運びたい考えとみられるが、親ロ派とロシアの反発は必至だ。

(時事ドットコム「ウクライナ東部拠点から撤退=停戦終了で軍が攻勢-親ロ派」より 2014/7/5 23:27)

ワシントン・ポストによると、親ロシア派のリーダー、アンドレイ・プルギンはインターファクス通信の取材に対して、「ウクライナ軍はスラビャンスクを徹底的に破壊しようとしている。もし軍の迫撃砲や戦車の砲弾を受け、空爆にさらされ、そして自分たちには3台の戦車とわずかな機関銃しかなかったら、どうする? 民兵がスラビャンスクから撤退したのは、市民の犠牲を防ぐためには当たり前の手段だ。我々の抵抗はまだ終わっていない」と述べている。

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