厚生労働省と警察庁は7月4日、「脱法ドラッグ」や「脱法ハーブ」に代わる新しい呼称の募集を始めると発表した。「脱法ドラッグ」という名前は、危険性の高い薬物だと認識されないケースがあるとの批判が相次いでおり、危険性が伝わる名称にしたいとしている。MSN産経ニュースなどが報じた。
新名称は(1)危険性の高い薬物と理解できる(2)幅広い世代が理解できる(3)危険性について誤解を与える「ハーブ」という呼称は原則として使用しない(4)公序良俗に反しない表現-が条件。呼称の見直しに反対する人からの「脱法ドラッグ」という用語に関する意見も受け付ける。
5日から18日まで、新呼称名(複数も可)、氏名、連絡先を記載し、電子メール(ikenboshu-yakuju@npa.go.jp)かはがきで応募する。
(MSN産経ニュース『「脱法ドラッグ」に代わる新名称募集へ 「危険な薬物との意味込めたい」厚労相』より 2014/07/04 12:25)
脱法ハーブは、幻覚症状などを引き起こす合成薬物(脱法ドラッグ)を、乾燥させた葉っぱや茎などの植物片に吹き付けたもの。ハーブやアロマオイル、バスソルトといったように、一見すると人体に無害な製品を装った薬物が自動販売機やインターネットで販売されており、意識障害や呼吸困難になって救急搬送される例が後を絶たない。
6月24日には、東京・池袋で、脱法ハーブを吸った男の車が暴走して8人を死傷させる事件が発生。この事件を特集した29日のTV番組では、歌手の泉谷しげるさんが「(脱法ハーブなんて)甘いんだよ。『殺傷ハーブ』くらいがいい」と述べ、タレントの松本人志さんも「『よだれくん』でええよ」と発言。タレントの中居さんも「『ハーブ』というのがおしゃれに聞こえる」と指摘していた。
英語ではNHK(英字電子版)が「law-evading drug(法をすり抜けたドラッグ)」、毎日新聞(英字電子版)が「quasi-legal drug(合法と見せかけたドラッグ)」「loophole hallucinatory herb(法の抜け穴をついた幻覚作用のあるハーブ)」、英字紙・The Japan Timesが「dappo herbs(脱法ハーブ)」などの言葉を使って報じているが、海外では「リーガル・ハイ」や、「synthetic cannabis(合成大麻、人口大麻)」などの言葉が使われている。
一方、インターネットでは、「名称を募集するよりも、法律で規制すべきだ」とする意見も出ている。規制が決められた直後に化学構造を少し変えただけの規制をすり抜ける新たな薬物が登場するというイタチごっこの状態になっている。池袋の事件でも規制対象外の薬物が使われていた。
厚生労働省は3日、指定薬物が含まれていない場合も、成分を分析したうえで「無承認医薬品」と位置づけて取り締まるよう都道府県などに通知し、取り締まりを強化している。
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