HIV陽性の夫婦、3人の子どもは未感染。これは奇跡なのか?

ヒュバートとジャンヌ・ムワンガザは結婚生活を始めた数年前から、2人ともHIV陽性だった。いま、彼らには3人の子どもがいる。しかし、HIVに感染した子供はいない。
UNICEF

ヒュバートとジャンヌ・ムワンガザは結婚生活を始めた数年前から、2人ともHIV陽性だった。いま、彼らには3人の子どもがいる。しかし、HIVに感染した子供はいない。

これは医学の奇跡なのか? そうではない。

ヒュバートとジャンヌがお互いに協力しあって、3人の娘たちが生まれる前からそれぞれの健康状態に深く関わっていた。とはいえ、出産前に父親が妻に協力するといっても、母親から赤ん坊へのHIV感染を予防する上ではそれほど関係がないと思われがちだ。しかし、サハラ以南のアフリカ諸国のうち、HIV感染率が極めて高い地域で集められた調査結果によれば、どうやらそうでもないらしい。

1999年と2005年に行われた研究では、男親に、母親から子どもへのHIV感染予防への協力を促すことで、感染のリスクが協力がない場合に比べて40%も減少したことがHIV・エイズの情報サイト「エイズマップ」により報じられた。この研究は献身的、協力的な父親の存在が医療の不十分な地域のHIV感染を予防する上でこれからは必要になってくるのではないか、と指摘した。

「父親や協力的なパートナーの存在を軽視してはなりません。母親から赤ん坊へのHIV伝染を撲滅するためにも不可欠なものなのです」と、ユニセフのHIVエイズ相談役チェウェ・ルオ博士は述べた。

ウィットネスとエドワードの夫妻も、結婚した同年にHIVであると診断された。「それでも人生を楽しむ意欲があることを見せたかったんです。健康状態がどうであっても、です。」エドワードは夫婦で医療センターに行くために自転車を買ったと語った。ウィットネスには4歳の娘がいる。彼女はHIVに感染していないが、それはエドワードのサポート、そしてHIV伝染予防プログラムを妊娠中、授乳期に受けるための交通手段があったおかげである。 写真提供: ユニセフ

HIVの有病率が高い地域、例えばヒュバートとジャンヌが住むコンゴ共和国では、妊婦がウイルス検査を受けるのが普通だ。早期に対応することで未感染の子どもが生まれる可能性が高まるためである。

ユニセフによると、男性も妊婦と一緒に検査を受けることで感染による不名誉感を和らげ、男性が出産過程への理解を高めることが出来るという。父親がHIVの早期治療の大切さを理解すれば、女性側も健康な妊娠状態を維持しやすくなる。例えば、ジャンヌは抗ウイルスのための錠剤を妊娠中に服用していたし、これからも授乳期が終わるまで続けるであろう。

幸運にも、検査によってHIV陽性の両親から未感染の赤ちゃんが生まれる可能性は上がり続けている。そして、WHO(世界保健機構)によるとアフリカの低、中収入の妊婦がHIV検査を受ける割合が2005年にはたったの8パーセントであったのに対し、2012年には44パーセントに上がったという

「最初の娘が生まれたときは怖かったです」と、ヒュバートは語った。「でも、彼女と2番目の子が生まれて、私は希望と自身が持てました。いただいたアドバイスに従い続ければ何にも問題はなく、生まれてくる子はHIVには感染しないぞという自信が持てるのです」

アフリカのHIV伝染についてさらに詳しく知り、行動を起こしたい方はユニセフのウェブサイトへ。

English by Robbie Couch]

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