![CUIABA, BRAZIL - JUNE 24: Makoto Hasebe of Japan (center) reacts during the 2014 FIFA World Cup Brazil Group C match between Japan and Colombia at Arena Pantanal on June 24, 2014 in Cuiaba, Brazil. (Photo by Adam Pretty/Getty Images)](https://img.huffingtonpost.com/asset/5c63b6ad240000af02a26cb3.jpeg?ops=scalefit_720_noupscale)
6月25日、日本代表にとってのFIFAワールドカップ・ブラジル大会は、コロンビアに4−1で敗れたことにより、幕を閉じた。決勝トーナメント進出には勝利が絶対条件となる中、先制されながら前半終了間際に追いつくも、後半、突き放されて力尽きた。勝負の分かれ目はどこにあったのか。データダッシュボードで試合を振り返った。
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1戦目と2戦目とはっきり違うのは、左サイド中盤で細かいパス回しをしていないこと。普段の左サイドの攻めの中心となる長友に、長谷部からも今野からもパスが行っていないデータからもわかる。とにかく縦に速く。そして重心もいつもの左サイドではなく、右サイド寄りだ。
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しかし、勝負はわからない。攻略どころだった、ボランチの脇のスペースで縦パスを受けようとした岡崎が、センターバックに突っかけられてボールを奪われる。完全に攻撃態勢に入って高い位置にいた内田の裏側に展開され突破を許し、ペナルティエリア内でたまらず今野がファール。PKを与えて先制される。
最高の数分間が、悪夢に。コロンビアのカウンターの鋭さが光った。
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左サイドでなく、右サイドを使う一つの理由は、内田のビルドアップ。中盤でボールを持って前方向にパスを出す能力は日本のサイドバックの中でも屈指。24分の岡崎を狙ったフィードがいい例だ。 25分のチャンスも、長谷部がシンプルにロングパスを大久保に出し、落としたボールを香川が拾ってシュート。縦に速く、シンプルに。今日の日本の攻めだ。
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日本が起点とする右サイドを受けつつ、逆サイドに個人技のあるクアドラードを高い位置に維持させている。23分のカウンター攻撃が特徴的で、日本の右サイドを受けてボールを奪うとすぐにクアドラドに展開、真ん中に走りこんだ選手にスルーパスを出している。守りを固めて速攻、狙いは明確だが、サイドの戻りが相変わらず遅い。
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29分、日本がコロンビアのカウンター攻撃をしのいだあと、コロンビアの選手の戻りが遅れて大きなスペースがサイドに開いていた。しかしこのチャンスに、長友、本田は単純なクロスを上げ、跳ね返されてチャンスを逸してしまった。
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35分、青山が縦に長く入れたボールを大久保が右に落とし、内田の折り返しを大久保がオーバーヘッドキックしたシーン。たびたび見られる日本の狙いだ。 だがそれだけではない。37分と39分の左サイド、長友、香川、大久保で組み立てたシーン。今日はこの左サイドの崩しと縦の速い攻め、そして右の内田。コートジボワール戦とギリシャ戦には見られなかった、状況に応じて使い分けられる柔軟性がある。
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相手が空けたサイドを攻略するか、前線に残った相手のサイドの選手にやられるか。お互いの攻めどころが明確な流れの中で、同点ゴールが生まれる。
中盤で長谷部が奪われたボールをクアドラドが運んで日本の右サイド側にパス。日本の守備陣が踏ん張ると、右サイドから内田が運んで、相手が戻りきれていないサイドにいた本田に渡す。本田のクロスに、前に残っていた前線の4人が飛び込んだ結果、中央にいた岡崎の頭に合って同点ゴール。 先取点を取ってもサイドを固めずもう1点を取ろうとしたコロンビア。戻らないコロンビアのサイドを突き続けた日本。このシーンでは日本が点を奪って前半を終了した。
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45分の失点は、狙った形で日本にカウンターを浴びせるはずが、逆カウンターを食らって失点。コロンビアにとっては、前に出る日本を相手に2点目を決めて早々にゲームを終わらせたかったはずだが、マズいゲーム運びをしてしまい、前半を終えた。
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後半9分の失点は、日本が左サイドを押し込まれ、ラインが下がったところでできたスペースにコロンビアがバックパス。香川がマークに付ききれずにドリブルで侵入を許して失点した。
左サイドで甘くなって失点するのは、コートジボワール戦の2失点と似ている。
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サイドに預けるカウンター狙いだった前半の戦い方から一転、自由に動き回るロドリゲスにボールを集めて、前線に人数をかけて攻め始める。
データを見て欲しい。縦線しかなかった前半と違って、前線の選手間で密にボールが回っている。
攻め方はサイドで二人、三人でボールを回して日本のディフェンスを引き寄せて、開いた中央に仕掛けるというもの。後半9分の勝ち越し点もこの形だ。後半頭からエンジンを掛けて突き放す。コロンビアのゲームプランがハマってしまった。
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後半19分、決定的なシーンが生まれる。相手の戻りが甘い右サイドをから本田、内田、岡崎の3人のパス回しで崩してクロス。DFの間に飛び込んだ大久保がシュートを放つが枠を外れる。ペナルティエリアに3人が飛び込み、最高の形だった。
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後半28分の今野のシュートは左サイドから細かく崩した形で、日本がこれまで追求してきた形だ。守りを固めるコロンビア相手に、細かいパス回しで崩しにかかる。
しかし、重心を下げてブロックを作ったコロンビアに、本田がボールを奪われるとシンプルに縦に繋がれてカウンターを受けて失点してしまった。相手には狙い通り。日本としては攻めざるをえない中で、攻めきれず、逆襲を許した形になった。
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左サイドに偏った陣形は、日本の左サイドをしっかり受け止めたあと、日本の選手の密度が低い逆サイドに展開してカウンターを狙おうという構えだ。
後半33分のカウンターは山口の戻りで得点にはならなかったが、狙っていた形。後半35分の得点は、きっちり守ってから2人だけの速攻で点を取った。
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引いて9人で守る相手に対してボールを持つが、トップの大久保、柿谷にボールが入らない。左サイドからの長友のクロスや柿谷のドリブルも不発。
ギリシャ戦の後半同様、真ん中に人数をかけ、両翼から攻める形だ。カウンターの対応に追われて今野も吉田も位置が上がっていない。
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こうして振り返ってみると、8人スタメンを落として臨んだコロンビアの守りのスキも多かったにもかかわらず、それを活かせなかった、完敗といっていい試合だろう。
データで明らかなとおり、コロンビアは決勝点となる2点目を入れるまで、両サイドを張らせてカウンターを狙っていたため、ボランチの脇が慢性的に守備の穴になっていた。そこから幾度となくチャンスをつくったが、ゴールに結び付けられず、一方で相手は、前線に残したサイドを起点にカウンター攻撃を再三しかけ、ゴールを奪った。またも勝負を分けたのは、サイドの攻防だった。
日本は点を奪わなければいけない状況で、こうした流れになること自体が悪いわけではない。お互い、相手にやりたいことをやらせて力勝負をした結果、負けたという印象だ。
コロンビアは1軍でないだけあって、守りの陣形にほころびがあったものの、カウンターで待ち構えて先制、守備の乱れで追いつかれるが、エースを投入して勝ち越し、さらにカウンター狙いで追加点を挙げたあとは引いてきっちり守る、と、ゲーム運びに余裕があった。また、ハメス・ロドリゲスの存在も大きい。入ったとたんに落ち着いてボールを回せるようになっただけでなく、カウンターに切り替えても、決定的なパスを出せる。彼の投入は、確実に勝負を分ける要因のひとつだった。
一方、日本は縦方向を重視する戦略と、相手のサイドを突く動きで前半までは良かった。しかし後半、相手がハメス・ロドリゲスを入れてボールを持ち出すと対応できず、ディフェンスラインがジリジリと下がって失点。その後は引いて守る相手に左、右、中央とボールを持って攻めるが及ばなかった。
試合の流れの大半を定義付けたのは、「勝たなければならない日本」「2勝しているコロンビア」という状況で、戦前からわかっていたことではあるが、やはり最終戦までに勝ち点を稼いでおかないと厳しい、というのも事実だろう。
3試合通して日本は、ボールを持てども攻められず、というシーンが続いた。
コートジボワール戦の1点は、スローインからの香川のドリブルが起点、コロンビア戦での1点も、カウンターで相手が空けたスペースからクロスでゴール。いずれも日本が志向してきた、ゆったりした攻めと狭い地域でのパス回しで3人、4人が連動するゴールではなく、「自分たちのサッカー」が結果に結びつかなかった。
日本の左サイド潰しを用意していたコートジボワール。ボールキープの軸となる本田に厳しいマークを付けたコロンビア。一人少なくなるやすぐに引き分け狙いで割りきって守ったギリシャ。こうして振り返ると、相手は自らの持ち味も出しつつ、一方で躊躇なく、勝負のリアリズムに徹してきている。それに対して、日本はどうだったか。こうした点が、親善試合では決してない、本番ならではの厳しさだろう。
3試合を戦って、勝ち点1に終わった日本代表。今後、日本のサッカーは、どうなっていくのか。次の4年間に向けて、新たな旅が始まる。
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