北朝鮮南西部の都市・開城(ケソン)の「開城工業団地」が6月30日で開設10年を迎える。韓国企業が、北朝鮮の労働者を比較的安価な賃金で雇用する事業は、政治の波に何度か翻弄されながらも、南北の経済協力のモデルとして生きながらえている。
聯合ニュースによると、開城工業団地は2004年6月30日に開設された。現在は125の韓国企業が入居し、約5万2千人の北朝鮮労働者が働いている。
当初は3段階にわたって66.1平方kmの敷地を開発する計画だったが、2008年の李明博大統領就任後、南北関係が悪化したことにともない、1期の約3.3平方kmが開発されただけだ。
2013年には北朝鮮側が一方的に開城工業団地の閉鎖を通告し、韓国企業関係者が一時撤退する騒ぎにもなった。
■チョコパイ拒否、背景に横流し?
開城工業団地の事業者は、1人当たり最低70.35ドル(2014年5月以降)の月給を支払うほか、夜勤などに就いた労働者に現物支給もしている。多くは菓子「チョコパイ」を、1日の夜勤で1人あたり10個程度受け取るのが一般的なようだ。北朝鮮の労働者は、これを北朝鮮国内の市場などで転売して現金に換金し、給料の足しにしているとみられる。
しかし聯合ニュースの別の記事によると、5月中旬からチョコパイの受け取り拒否の動きが出ているという。ある事業所の代表者は「チョコパイの代わりに肉や飯がいいと、職場長が伝えてきた」といい、別の代表者も「業者ごとに状況は違うだろうが、北朝鮮の職場長の要求で6月からチョコパイを支給していない」と話した。ドルを要求された事例もあるようだが、無理な要求はしていないようだという。
理由は正確にはわからないが、南北関係の悪化や、北朝鮮内部の統制強化などによるとみられる。
韓国からの対北人道支援の窓口となる北朝鮮の「民族和解協議会」は4月28日付の書簡で、韓国の対北朝鮮政策に不満を表明し「事前合意なく渡された物品は受け取らない」と宣言したことがある。韓国製のチョコパイが続々とヤミ市場などに横流しされ、取引されている現状を憂慮した可能性もある。
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