ワールドカップで導入「ゴールラインテクノロジー」の仕組み

もうゴールにまつわる誤審とはお別れ?――サッカーにおいて、ハイテク技術で誤審を減らす仕組みが、2014FIFAワールドカップ・ブラジル大会から採用された。この、ゴールラインテクノロジーとは、どんな技術なのだろうか。

もうゴールにまつわる誤審とはお別れ?――サッカーにおいて、ハイテク技術で誤審を減らす仕組みが、2014FIFAワールドカップ・ブラジル大会から採用された。この、ゴールラインテクノロジーとは、どんな技術なのだろうか。

サッカーではゴールの枠内に、ボールの一部分でなく全てが入った時に初めてゴールが認められる。シュートがネットに突き刺さるような、わかりやすい場合は問題がない。しかし、ゴールライン間際のきわどいところでキーパーが弾き出したりした場合、ラインを超えたかどうかを判定するのが非常に難しくなる。

そこで、技術の力を借りて正確に判定しようというのが、ゴールラインテクノロジーだ。

この技術では、7台のハイスピードカメラでゴール付近を毎秒500コマで撮影。ゴールラインをボールが完全に超えたかどうかを判定し、超えていた場合、1秒以内に主審の腕時計に振動とともに「GOAL」と表示させ、ゴールであることを伝える仕組みだ。

活躍の場は、6月16日に行われたフランス・ホンジュラス戦で訪れた。フランスのFW、ベンゼマが放ったシュートがゴールポスト内側に当たって跳ね返り、キーパーの体に当たってゴール方向へ。キーパーが慌ててボールを外に掻きだす、きわどいプレー。これがゴールラインテクノロジーによってゴールと判定され、ゴールが認められた。

このゴールラインテクノロジー、導入のきっかけとなったのは2010年のワールドカップ南アフリカ大会。イングランド・ドイツ戦で、イングランドのランパードが放ったミドルシュートが、クロスバーにあたって跳ね返り、ゴールラインを割ったがノーゴールと判定、結果的にイングランドの敗戦につながった。

2010年ワールドカップ、イングランドのランパードがドイツ戦で放った、「幻のゴール」

サッカーのルールでは、ゴールラインを超えたかどうかは副審が判定することになっているが、ミドルシュートや速攻の場合、副審がゴールの真横に立つことが難しく、度々、誤審の原因となっていた。

誤審が減るため、審判にも、選手にも、ファンにも嬉しいゴールラインテクノロジー。しかし、導入にコストがかかることが問題だという。

承認されたゴールラインテクノロジーは、現在2つの方式がある。今後、承認されれば増えるという。現行の2つとは、カメラを使った「フォークアイ」と磁気センサーを使った「ゴールレフ」。フォークアイはソニーが昨年、買収した英国の企業が開発したもので、すでにテニスやクリケットで採用されている技術だ。ゴールレフはデンマークとドイツの合弁企業が開発したシステムで、ゴール枠に磁場を発生させ、ボールが完全に超えたかどうかを判断する。

問題は費用だ。ひとつのスタジアムにつき、およそ20万ドル(約1600万円)もかかる。フォークアイよりも、ゴールレフのほうが、少し費用は安いという。2012年クラブW杯や、2013年コンフェデ杯、2014年W杯で導入する際の費用は、FIFAが負担する。だが今後、ゴールラインテクノロジーの導入を希望するリーグは、それぞれが負担しなければならない。

(J SPORTS「#187 ついにゴールラインテクノロジー導入」より 2012/07/09)

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