[バンコク 5日 ロイター] - タイ軍事政権が、タクシン元首相の政権復帰を阻止するためタクシン派の一掃を進めている。クーデターで全権を掌握した国家平和秩序評議会(NCPO)は、元首相の支持層の多い北部や北東部の13州の知事を他州へ移動させたことを明らかにした。
さらに同評議会は、元首相とその妹のインラック前首相の強力なよりどころとなっていたタイ警察についても再編している。元首相は自らの事業を開始するまで13年間、警官として勤務していた。
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ロイターが入手した評議会の資料によると、この1週間で少なくとも17人の上層部が異動になった。タクシン派の締め出しは法務省特別捜査局(DSI)まで及び、タリット局長も任を解かれたという。タリット氏はコメントを拒否した。
警察と軍事政権の広報担当者はいずれも、これらは政治的粛清ではないと説明。陸軍の広報官、Winthai Suvaree氏は「適切な任命だ」と述べた。
ただ、バンコク警察のある高官は匿名を条件に「警察の要職と軍部との結び付きを確実にするための異動が体系的に行われている」と指摘。タクシン元首相とのつながりを断つことが目的だとの見方を示した。
タクシン元首相は2006年のクーデターで政権を追われ、当時の軍事政権により政治的影響力を制限されたが、2011年には妹のインラック氏が首相に就任した。現軍事政権は、2人の政権復活を確実に阻止することを目指している。
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軍事政権は、インラック前政権が行っていたコメ買い取り制度に代わる新たなコメ農家向け価格保証制度の導入を計画。地方におけるタクシン派の影響力を削ぐのが狙いで、すでにコメ農家に支給する15億円をローンで確保した。
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