労働問題を専門とする弁護士らによる市民団体「ブラック企業対策プロジェクト」は5月29日、内定・入社前後にトラブルに遭遇した若者に向けて、「内定・入社前後のトラブル対処法」をネット上で公開した。
「内定後にインターンシップに出ないと内定を取り消すと言われ、授業に出ずに働いている。給料は出ない」「内定の際は正社員と言われたが、入社してみると最初の3カ月はアルバイトだった」など、実際に若者から寄せられた相談を踏まえ、実践的な対処法について解説している。
冊子では、労働契約についての基本を説明し、トラブルの相談窓口を紹介しているほか、具体的な事例について、どのように対処すればいいのかを解説。以下のように呼びかけている。
内定とは、まさに、私たちが働くにあたって最も重要な「労働契約」を締結することなのであり、会社の言いなりになることではありません。
自分がどのような労働契約を締結するのかということをきちんと意識することが会社で働くことの第一歩です!!
(ブラック企業対策プロジェクト「知っておきたい 内定・入社前後のトラブルと対処法」)
「ブラック企業対策プロジェクト」の宮里民平弁護士はNHKニュースに対して、「労働に関する知識を持つことが必要だ」と話している。
「ブラック企業対策プロジェクト」の宮里民平弁護士は「就職活動中の学生は自分を守るためにも労働に関する知識を持つことが必要だ。トラブルになった場合は、労働基準監督署や民間の窓口に相談してほしい」と話しています。
(NHKニュース「入社前後のトラブル事例 弁護士らが公開」より 2014/06/02 04:23)
■冊子で紹介されている主な事例
Q:入社前の研修として、駅前で歌を歌わされたり、マラソンをさせられたりなど、業務と関係のないことを強要させられた。しかも、「守秘義務があり、研修内容を含め社内のことは口外してはいけない」などと言われたが、相談できないのか?
A:人格権を侵害するような研修は、それを行わせたこと自体が違法になり得ます。違法行為は「企業秘密」に該当しません。
Q:内定先が過去の健康診断結果の提出を求められた。現在は完治しているが、以前「うつ病」になったことがあり「うちの会社の厳しい業務には耐えられない。他を探した方がいい」と言われた。
A:内定先に過去の健康状態を知らせる必要はありません。内定取消も認められません。
Q:夏休み中に研修に来るように言われ、営業リストの作成や営業先への電話等を週5日、1カ月ほどした。ただ働きでも仕方ない?
A:原則として研修には賃金を支払わなければいけません。
Q:研修に参加したが、営業先なども自腹で回らされる
A:交通費は他の社員と同じように支払われなければいけません。
Q:「後輩をうちの会社の説明会にできるだけ連れてきてください。うちで働きたいならば、まずはそこで結果を出してください」と言われた
A:従う義務はありません。
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