「美味しんぼ」で福島第一原発事故後の鼻血などが描かれたことをめぐり、専門家や健康被害を訴える当事者らが5月23日、参院議員会館で記者会見を開いた。会見で出席者らは、言論の自由のあり方や、鼻血と被ばくの因果関係などのテーマで意見を述べた。朝日新聞デジタルが報じた。
住民の自主的な甲状腺検査に協力してきた北海道がんセンターの西尾正道名誉院長は「高線量被曝(ひばく)による急性障害に論理をすり替え、鼻血(との因果関係)を否定する『専門家』がいる」と批判。「放射性物質が付着した微粒子が鼻腔(びくう)内に入って低線量でも鼻血が出る現象はあり、医学的根拠がある」と指摘した。
記者会見に電話で参加した福島県内の母親は「漫画全体を読み、福島への愛情を感じた。子どもに鼻血が出ても、話を聞く前から因果関係を否定するような人たちに私たちは本当のことは言わない。国の責任で鼻血を含めた健康調査をしてほしい」と訴えた。
(朝日新聞デジタル『美味しんぼ「鼻血、医学的根拠ある」 専門家ら反論会見』より 2014/05/24 00時14分)
西尾氏は会見で、2011年7月から9月までの間に福島から札幌に検査にきた4000〜5000人に接している際に、子供が鼻血を出しているという話を母親らから聞いたと述べた。
西尾氏はさらに、低線量被曝でも鼻血がでる現象はあり得るとしたうえで、「被ばくと鼻血は関係ない」「風評被害」とする政府を批判。鼻血は現在の状況が原因で起きているわけではないとして、風評被害には当たらないという考えを示した。
(西尾氏)「鼻血は放射線のせいではないという結論を専門家が出した。とんでもない。がんの専門家もいないし、本当の意味での放射線の専門家もいない。放射線を治療している人も誰もいない。
僕は3万人の患者さんを40年間治療して、日本一放射線の患者を扱った医者の一人です。放射線の光の部分もわかるし、影の部分もわかります。チェルノブイリの当時の新聞では、子供に体調異変が起こり大量の出血という報道もされている。なぜこのような事実を隠してまで、風評被害と言っているのか。
風評被害にはならないです。今起こっていることではないですから。甲状腺がんは内部被曝そのものでしょう。外部被曝ではないですよ。
鼻血はストレスによるものだともいわれていますが、鼻血というものは、ストレスでは出ない。メンタルケアの「いろは」もわかっていない。ストレスで鼻血が出たという報告は全くありません」
(ツイキャス「FFTV5/23美味しんぼ記者会見」より 2014/05/23)
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