防衛省は5月24日、東シナ海の上空で同日の昼頃に2回、中国軍の戦闘機が、海上自衛隊と航空自衛隊の航空機2機に対して、異常接近したと発表した。防衛省によると現場は、日本の防空識別圏と2013年11月に中国が設定した防空識別圏が重なるエリアだった。領空侵犯はなかった。日本政府は、在東京中国大使館を通じて抗議を行った。朝日新聞デジタルなどが報じた。
発表によると、中国軍の戦闘機Su27が2機、午前11時ごろに海自の画像データ収集機OP3Cへ、正午ごろには空自の電子測定機YS11EBにそれぞれ接近。2機のうち1機は、海自機には約50メートル、空自機には約30メートルの距離まで、並走するように近づいてきたという。接触はなく、けが人もなかった。
(朝日新聞デジタル「自衛隊機に中国機が異常接近 防空識別圏重なる区域で」より 2014/05/25 01:30)
現場は尖閣諸島から数百キロ程度離れており、日中中間線付近にある中国が開発を進めるガス田に近いエリア。東シナ海では20日から、中国とロシアが合同軍事演習を行っているが、現場は演習の海域ではなかったという。中国機が自衛隊機に対してスクランブル(緊急発進)を行った可能性がある。
防衛省幹部は、自衛隊機が数十メートル規模まで中国軍機に接近されたケースは「記憶にない」としている。
同省幹部によると、自衛隊機も緊急発進(スクランブル)した際、外国軍機に近づき機種などを確認するが、30〜50メートルまで接近することはないという。中国軍機から威嚇射撃や進路妨害などは受けなかったという。
(毎日新聞「中国軍機:自衛隊機に30メートル 異常接近…東シナ海上」より 2014/05/25 03:22)
小野寺防衛相は25日午前、防衛省で記者団に対し、「1つ間違うと偶発的な事故につながる可能性がある危険な行為だ。搭乗員の報告によると、戦闘機にはミサイルが搭載されていた。ごく普通に公海上を飛んでいたのに近接することはありえず、常軌を逸した近接だ」と強く批判し、警戒監視に万全を期す考えを強調した。
そのうえで、小野寺大臣は「安倍総理大臣には、きのう夜報告し、『引き続きしっかり態勢を取るよう』と指示があった」と述べるとともに、「中国に対しては外交ルートを通じて抗議した。自衛隊機の活動は、従来から行っている情報収集であり、公海上なので何の制限もない。今後も必要な警戒監視を行っていく」と述べ、これまでどおり警戒監視に万全を期す考えを強調しました。
(NHKニュース『「常軌逸した近接」 防衛相が中国を強く批判』より 2014/05/25 12:07)
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