タイでクーデターを起こした軍が設けた「国家平和秩序維持評議会」の命令を受け、インラック前首相が5月23日、首都バンコクの軍施設に出頭した。時事ドットコムなどが報じた。
タクシン元首相の妹であるインラック氏は姉のヤオワパー前下院議員、義兄のソムチャイ元首相と一緒に出頭した。インラック氏らタクシン一族をめぐっては国外に逃亡したとの臆測もあった。
評議会は、これまでに出頭を命じたインラック氏らタクシン派の政治家や軍人を含む計155人について、出頭に応じない場合には「逮捕し訴追する」と警告。評議会の許可なしに出国することも禁止した。
(時事ドットコム「インラック前首相が出頭=軍当局、各国大使呼び会合-タイ」より 2014/05/23 15:21)
朝日新聞デジタルは、インラック前首相らタクシン氏の親族、側近に出頭を命令したことなどを受けて「反タクシン色が鮮明になってきた」と報じている。
■ 陸軍司令官が首相職
国家平和秩序維持評議会は22日夜から23日朝に次々と布告と命令を出し、プラユット陸軍司令官の首相職兼務、中央各省次官による大臣職務の代行など軍政の体制を整えた。
タイでの過去のクーデターでは、軍は直後にプミポン国王に報告し、拝謁(はいえつ)時の写真の公表などで国王の「承認」を印象づけてきたが、まだそうした動きはみられないという。
全権の掌握が長期間に及ぶと経済などへの大打撃となることから、前回2006年のクーデターのときのように、新憲法や新首相の選出、その後の選挙日程の発表などをやつぎばやに行う可能性もあります。
そのためにもまずは、双方のデモ隊を解散させ、政治的な混乱の鎮静化を最優先で図っていくものとみられます。
(NHKニュース「タイのクーデター 陸軍司令官が首相代行」より 2014/05/23 04:56)
タイ軍が夜間外出禁止令や5人以上の集会の禁止などを相次いで発表したことを受け、首相府周辺やバンコク郊外で集会を続けてきた反政府デモ隊や政権支持派のグループはそれぞれ集会を中止し、大きな混乱は起きていないという。
また、クーデター宣言を受けてバンコクの日本人学校は23日、休校措置をとったほか、日本大使館は現地の日本人に不要不急の外出を控えるよう呼びかけているという。
■米国務長官は批判
一方、国際社会はクーデターへを批判している。
米国のケリー国務長官は22日、「クーデターに正当性はない」と批判。米国務省は最大1千万ドル(約10億2千万円)のタイ向け支援の凍結を、米国防総省も軍事支援や共同軍事演習の見直しを検討している。
欧州連合(EU)も「軍は報道の自由を含む人権の国際基準を認めなければならない」と声明を出した。
(朝日新聞デジタル「インラック前首相らに出頭命令 タイ軍クーデター」より 2014/05/23 12:41)
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