自民党は5月20日、「配偶者控除」を見直し、専業主婦世帯と共働き世帯で控除額を同額にすべきだという提言をまとめた。政府の成長戦略に反映させる「日本再生ビジョン」に盛り込んだ。朝日新聞デジタルなどが報じている。
配偶者控除は、配偶者の年収が103万円までなら、本人の給与所得から38万円までを差し引くことができ、所得税が安くなるため、夫か妻だけが働く世帯に恩恵が大きい。一方で、パートの妻らが103万円に届かないよう仕事量を調整する傾向があるとされ、女性の社会進出を妨げているとも指摘される。
提言案は、夫婦単位の控除にすることで、共働きと、夫婦どちらかが働く世帯との間で所得税額の差を出にくくし、女性の社会進出を促すのが狙いだ。子育て世代の女性を支援するため、ベビーシッターを雇った費用などを所得税額から差し引ける「家事支援税制」の導入も盛り込んだ。
(朝日新聞デジタル「配偶者控除の見直し提言案 自民、成長戦略に向け」より 2014/05/21 05:00)
配偶者控除に関しては、専業主婦に与えられる優遇措置であるとして10年以上も前から議論が行われてきたが、控除をなくしたり、少なくしたりすることで、納める税金が増えるという批判もあり、棚上げされてきた。子育てや介護に追われる世帯では、配偶者控除の見直しでさらに負担が重くなるという意見もある。
今回の提案では、配偶者控除を専業主婦世帯だけに適用するのではなく「夫婦単位の控除」とすることで、より中立の税制を目指すとしているが、控除額が減額される可能性もある。というのも、国から見ると、配偶者控除を廃止することで約6千億円ほど税収が増えるといわれていたためだ。制度が変わることで、余分な財源が必要になるとも考えられるため、子育て関連の財源すら確保できない状況では、配偶者控除を増やすことは考えにくい。
なお、自民党は「Jファイル 2013 総合政策集」などで「社会の基本は自助にあり、家族の助け合いの役割も正しく評価されなければならない」として、「配偶者控除は維持」と明言していた。
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