トルコのカッパドキアといえば、岩山に多くの穴を空けた地下都市で知られているが、日本にも負けず劣らずの遺跡がある。それが、「埼玉のカッパドキア」の異名を持つ埼玉県吉見町の「吉見百穴(よしみひゃくあな)」だ。凝灰岩の岩山の斜面に、直径1メートル、奥行き2〜3メートルほどの穴が200以上も空いている。
明治時代には「小人の住居ではないか?」という説もあったが、出土品から「古墳時代の死者を埋葬する墓穴」というのが定説となった。一部の穴には緑色に発光することで知られるヒカリゴケが自生している。1923年には国の史跡に認定されたが、太平洋戦争中にはアメリカ軍の爆撃を逃れるための軍需工場が作られ、多くの穴が破壊されたという。
近くには岩室観音や、北条氏の松山城といった史跡のほか、明治〜大正年間に民間人が掘った「岩窟ホテル」と呼ばれる穴が残っており、歴史散歩を楽しむことができる。
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