[東京 12日 ロイター] - 日本の経常黒字が急ピッチで減少している。財務省が12日に発表した2013年度の国際収支状況によると、黒字は7899億円と、いまの手法で統計をまとめるようになった1985年度以降で最小となり、初めて1兆円を割り込んだ。東日本大震災に伴う原発停止で原油などのエネルギー輸入に歯止めがかからなければ、近い将来の赤字転落は避けられそうにない。
財務省によると、これまでもっとも黒字の額が大きかったのは2007年度の24兆3376億円だった。その後、減少傾向をたどり、前年度はその前の年度より81.3%減少し、7899億円となった。
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13年度は投資に伴う利子や配当を差し引いた所得収支(1次)が16兆6596億円の黒字と、前年より14.0%増えた。しかし、エネルギー資源の輸入が膨らみ、同年度の貿易収支は10兆8642億円の赤字と、前年より赤字幅が5兆6169億円膨らんだことが響いた。
超円高のときに主要な自動車メーカーが海外生産を加速させ、国内産業の空洞化に拍車がかかったことに加え、エネルギー資源の輸入がかさみ、専門家の間では「黒字を確保しにくい状況が続くのでは」との見方が多い。
連続性のない記録では第2次オイルショックの影響で1979年度と1980年度に赤字に転落した経緯もあり、「再び赤字に転落するのは時間の問題」との声も出ている。
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3月の経常収支は1164億円の黒字と、ロイターによる予測中央値3050億円の黒字を下回った。
(山口 貴也)
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