「ボコ・ハラム」のナイジェリア女子生徒拉致事件に抗議の声世界に広がる マララさんら「私たちの少女を返して」

ナイジェリア北東部ボルノ州で4月、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」が276人の女子生徒を拉致した事件に対する抗議の声が世界各地で広まっている。オバマ大統領夫人のミシェルさんや、2012年にイスラム武装勢力タリバンから頭部に銃撃を受けて重傷を負ったマララ・ユスフザイさんらも加わり、「Bring Back Our Girls(私たちの少女を返して)」というキャンペーンがソーシャルメディア上で展開されている。
Malala Fund / First Lady White House

ナイジェリア北東部ボルノ州で4月、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」が270人以上の女子生徒を拉致した事件に対する抗議の声が世界各地で広まっている。オバマ大統領夫人のミシェルさんや、2012年にイスラム武装勢力タリバンから頭部に銃撃を受けて重傷を負ったマララ・ユスフザイさんらも加わり、「Bring Back Our Girls(私たちの少女を返して)」というキャンペーンがソーシャルメディア上で展開されている。

■ ボコ・ハラムとはどんな組織なのか

今回の事件を起こしたナイジェリア北部を主要活動地域とするスンニ派過激組織「ボコ・ハラム」は「西洋式の教育は罪」という意味で、1990年代中頃に設立されたイスラム教学習グループを母体として2002年頃に設立者モハメド・ユスフ師を中心として結成された。ナイジェリアの「タリバン」を自称し、(1)ナイジェリア政府の打倒、(2)(「ボコ・ハラム」発足地である)ボルノ州におけるシャリーア(イスラム法)施行、(3)西洋式教育の否定などを標榜している。

攻撃対象はナイジェリア北部及び中部の地方自治体、軍、警察、政府関係者及び施設で、2009年7月にモハメド・ユスフ師が射殺された後、新しい指導者となったアブバカル・シェカウ師がテロ活動を再開、2011年には警察、国連施設、イスラム神学校、キリスト教会、民家などへの連続爆弾攻撃で300人以上が死亡するなど活動は過激化している。2014年5月7日にはボコ・ハラムとみられる武装グループの銃撃で少なくとも125人が殺害された

「ボコ・ハラム」の活動は現在ナイジェリア北部地域に限定されているが、「イラクのアルカイダ」(AQI)やアルジェリアを拠点とする「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」(AQI)といった組織と連携している可能性がある。

■ マララさん「少女たちは私の姉妹」 オバマ大統領夫人「少女たちから教育の機会奪う」

拉致事件に対する抗議の声は世界中に広がり、ソーシャルメディア上では「#BringBackOurGirls(私たちの少女を返して)」という合言葉が広がりを見せている。

パキスタンで女性への教育の権利をブログなどで訴え、2012年にイスラム武装勢力タリバンから頭部に銃撃を受けて重傷を負い、現在はイギリスに在住しているマララ・ユスフザイさんは7日、CNNの取材に対し「ナイジェリアの少女たちが拉致されたと聞いた時、非常に悲しくなり、こう思いました。『私の姉妹たちが今、囚われの身になっているんだ』と」とした上で、「ナイジェリアの少女たちは私の姉妹です。そして、姉妹たちのために声を上げる。それが私の責務なんです」と述べた。

アメリカのミシェル・オバマ大統領夫人は10日、動画による演説の中で女子生徒の早期解放を求め、ボコ・ハラムに対して「世界中の多くの人々、そして夫と私が激しい憤りを感じ、心を痛めている。テロリストたちがとった行動は常軌を逸している。彼らは、少女たちから教育の機会を奪うためにやっているのだ」と強く非難した。

■アメリカとイギリスの救出作戦チームが現地入り

9日、拉致事件解決のためのアメリカとイギリスによる救出作戦チームが現地入りした。

米英の専門家チームは対テロや捜索のスペシャリストで、作戦の立案などに携わる。英BBCによると、チーム派遣に際し、ケリー米国務長官は「ボコ・ハラムの脅威に対抗するためあらゆることをする用意がある」とした。英政府も「今回の事件だけでなく、長期的な対テロ対策の視点に立つ」とし、ボコ・ハラムの撲滅を目指す考えを示した。


(朝日新聞デジタル「誘拐女子生徒、米英救出チームが活動開始 ナイジェリア」 2014/05/10 22:40)

ハフィントンポストイギリス版によると、イギリス外務省のスポークスマンは「このチームは国際開発省、外務省、国防省といった政府職員から選抜されており、ナイジェリア当局と連携し、ナイジェリア国内の拉致事件やテロリズムに対処することになる」とした上で、「イギリスのチームはアメリカや他の国のチームとも共同歩調をとるために密接に連携することになる」と述べた。

■ ナイジェリア当局、事前に情報察知? 国際人権団体が告発

国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは9日に発表した報告書の中で、ナイジェリア当局がボコ・ハラムの女子生徒の拉致を事前に察知していたにもかかわらず、適切な対応を講じなかったとして非難した。

報告書によると、ナイジェリア国防軍は、ボコ・ハラムが拉致を行う4時間以上前に複数の情報をつかんでいたが、現地に軍を派遣するなどの対策を講じなかったとしている。




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