[東京 8日 ロイター] - トヨタ自動車
トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト26人の予測平均値は2兆6320億円で、会社予想はこれを下回る。
今期の売上高予想も前期比横ばいの25兆7000億円。消費税率引き上げの影響などにより国内販売が落ち込む。純利益は同2.4%減の1兆7800億円を見込む。
同日会見した豊田章男社長は、15年3月期の業績見通しについて「今期は意思を持った踊り場」と説明。「持続的成長がわれわれの一番の目的」と強調した上で、「急成長後に急降下した4年前はステークホルダー(利害関係者)の方々にご心配とご迷惑をおかけした。その学びからこうした計画にした」と述べた。
<競争力強化に向けて積極投資>
2015年3月期の研究開発費は9600億円(前期は9105億円)、設備投資は1兆0200億円(同1兆0007億円)とそれぞれ前期から上積みする計画だ。次世代環境技術や安全技術、需要変動に対応できる生産ライン構築やIT(情報技術)分野、人材育成のための投資などがかさむ。豊田社長は「持続的成長のためにはより競争力を強くし、将来に花開くためのいろいろな積極的投資を順次行っていきたい」と話した。
前提為替レートは1ドル=100円(同100円)、1ユーロ=140円(同134円)に設定した。円安効果で前期は営業利益を9000億円押し上げたが、今期は新興国通貨安などの影響で950億円の減益要因となる見込み。
ダイハツや日野自動車を含む今期のグループ世界販売計画は910万台(同911万6000台)。消費増税が響く国内で221万台(同236万5000台)と15万5000台減少する。一方、北米は262万台(同252万9000台)、アジアは163万台(同160万9000台)などと増える。
ちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘調査部長は、今期の会社予想について、「第一印象としては弱めだ。販売計画では伸長を見込んだ北米市場に自信が表れているが、競合との兼ね合いが厳しい市場であることには変わりない」と指摘、「いずれにせよトヨタ株を新たに買うほどのインパクトは乏しい」と述べている。
<前期は6年ぶりに最高益更新>
同日発表した14年3月期連結決算(米国会計基準)によると、営業利益は前の期に比べ73.5%増の2兆2921億円となった。日米での販売好調、コスト削減効果や円安の追い風もあり、リーマンショック以前の実績である08年3月期の2兆2703億円を上回り、6年ぶりに過去最高を更新した。
ただ、米国での大規模リコール問題で米司法省に支払う和解金12億ドル(約1200億円)やオーストラリアでの生産撤退に伴う費用などがかさみ、2月に公表した予想の2兆4000億円は下回った。
前期の売上高は同16.4%増の25兆6919億円、純利益は同89.5%増の1兆8231億円だった。国内での消費増税前の駆け込み需要が寄与したほか、北米での販売も好調だった。
豊田社長は、09年6月に社長に就任して以来、強化してきた収益改善活動などにより「経営体質は確実に強くなった」と評価。09年3月期分から納めていなかった法人税を14年3月期分から支払えるようになったことなどにも触れ、「文字通り、持続的成長のスタートラインから一歩踏み出すことができる」と語った。
(白木真紀 取材協力:杉山容俊 編集:吉瀬邦彦 田巻一彦)
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