【UPDATE】5月9日午後、国民投票法の改正案は衆院本会議で可決し、参議院に送られた。(2014/05/09 15:14)
衆院憲法審議会は5月8日午後、憲法改正手続きを定めた国民投票法の改正案を賛成多数で可決した。9日の本会議で可決され、参院に送付される見通し。今国会での成立は確実な情勢だ。47NEWSなどが報じた。
衆院憲法審査会は8日午後、憲法改正手続きを確定させる国民投票法改正案を与野党7党の賛成多数により可決した。9日の衆院本会議で可決され、参院に送付される。
(47NEWS「国民投票法、9日に衆院通過 憲法審可決、今国会成立へ」より 2014/05/08 17:22)
安倍政権が集団的自衛権の行使容認について憲法解釈変更で実現を目指すなか、憲法改正手続きを定める国民投票法の改正案が、一歩進むことになった。
■国民投票法、3つの課題
国民投票法は2007年、第1次安倍内閣のときに成立した。2010年に施行された「憲法改正国民投票法(日本国憲法の改正手続に関する法律)」は付則で、以下の3つを検討すべき課題としていた。
1)公職選挙法の選挙権年齢や民法の成人年齢の引き下げ
2)公務員の政治的行為の制限の在り方
3)憲法改正以外へ国民投票の対象拡大の検討
1)国民投票年齢「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げ
改正案は、国民投票年齢は選挙権年齢や民法の成人年齢とは連動せず、国民投票年齢を法施行4年後に「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げると規定。選挙権年齢や成人年齢については付則で「改正法施行後速やかに必要な法制上の措置を講ずる」としている。
公職選挙法の改正が進まなければ、4年後の国民投票と国政・地方選挙の年齢が食い違い、混乱が生じる可能性がある。
公選法改正が進まなければ、4年後に国民投票と国政・地方選挙の年齢が食い違い、混乱が生じかねない。(中略)成人年齢の引き下げは関連法令が300本近くあり、選挙権年齢より難航しそうだ。
(47NEWS「選挙権年齢が「宿題」に 国民投票法改正、今国会中に成立へ)」より 2014/05/08 14:44)
2)公務員の政治的行為、警察官などを除き容認
公務員の政治的行為の制限の在り方については、与党原案にあった公務員の「勧誘運動」を禁じる規定は、警察官などを除き、見送られた。民主党と共同提出するために与党が譲歩したかたちだ。
与党は民主党に配慮し、与党原案にあった公務員が組織的に改憲の賛否を働きかける「勧誘運動」を禁じる規定を削除。改正案の付則に「施行後速やかに必要な法制上の措置を講じる」と明記するにとどめた。
(MSN産経ニュース「国民投票法改正案質疑入り 公務員規制違いクッキリ 民維の距離感に自民苦慮」より 2014/04/18 15:09)
3)国民投票の投票テーマ、対象拡大へ
憲法改正以外に国民投票の対象を拡大することについては、与野党とも前向きに検討することで一致している。しかし、「原発」や「在日米軍駐留」といった政治的課題にまで対象を広げることには慎重論があるという。
国民投票を他の分野にも活用することは、与野党とも前向きに検討することで一致している。ただ、「原発設置・稼働」や「在日米軍駐留」など多数決で決めるのは困難な政治課題にまで広げることには慎重論も多い。国民投票を多用すると議会制民主主義の根幹を揺るがしかねないとの指摘もある。
(MSN産経ニュース「国民投票法改正案が成立後に残る3つの課題とは?」より 2014/05/03 21:08)
■国民投票法、憲法改正に与える影響とは
日本国憲法では第96条において、憲法を改正するには「国会発議に衆参両院とも総議員の3分の2以上の賛成が必要な上、国民投票で過半数の賛成が必要」と定めている。
これまで日本では、国民投票に関する法律が存在していなかったため、憲法改正するための手続きを整備するために、国民投票法案が提出されたかたちだ。
日本国憲法は硬性憲法(改正の手続きが厳密な憲法)といわれ、改正されることがほとんど想定されていませんでしたから、国民投票に関する法律が存在していないという状況でした。このままの状態では、国会での決議があっても憲法を改正できないため、これを整備しようという目的で作られたのが国民投票法です。つまりこの法律が審議され始めたということは、憲法改正に向けての具体的な手続きが進み始めたことを意味しています。
(THE PAGE「国民投票法の改正案を衆議院に提出、これは何を意味する?」より 2014/04/03 09:00)
■国民投票法、成立後に残る課題
国民投票における「過半数」は、賛成投票数と反対投票数の合計数を投票総数とし、無効票を除く「有効投票総数の過半数」を意味している。この場合、有権者総数の1割しか賛成していないのに関わらず。憲法が改正される事態が起きる可能性がある。
今回の国民投票法だけでなく、「過半数」の条件などの議論も進められるべきだという意見もある。福井新聞は、以下のように指摘している。
一定の投票率に達しない場合は無効とする「最低投票率」の導入をいま一度、議論すべきではないか。
国会の発議から「60日以降180日以内」とされている投票までの期間にしても、最短の「60日間」となれば国民が憲法改正案を熟慮する時間が足りない。「少なくとも2年以上」を求める声は憲法学者の間にもあるはずだ。
憲法改正案に対する投票方式も問題。改正事項が複数の場合、一括して投票するのか、個別の事項ごとに投票するのか。運用の仕方によっては国民投票の結果を左右しかねない重要な手続き上の問題をはらむ。
(福井新聞「まだ議論が不足している 国民投票法改正案 論説」より 2014/05/08 07:20)
■Twitterの声
Twitter上にも、国民投票法についての声が上がっている。
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