[ワシントン 2日 ロイター] - 米独首脳は2日、ワシントンで会談し、ウクライナで今月25日に予定される大統領選挙をロシアが妨害すれば、ロシアの主要産業分野を対象とした制裁を追加的に発動するとの見解で一致した。
オバマ大統領とメルケル首相は会談後にホワイトハウスのローズガーデンで共同記者会見を行い、米独は対ロシア追加制裁発動に向け団結しているとの立場を示した。
オバマ大統領は「混乱と不安定化が著しい状態が継続し、5月25日の大統領選が阻害されれば、(ロシアに対する)より厳しい追加制裁を発動せざるを得なくなる」と言明。メルケル首相も「状況を安定化させることができなければ、追加制裁は避けられない」と同調した。
追加制裁は、エネルギー、銀行部門が対象になる公算が大きい。ただ両首脳は、追加制裁で対象となる可能性のある産業分野については具体的に明らかにせず、追加制裁がどの程度厳しいものになるかも具体的には示さなかった。
オバマ大統領は「ロシア産原油・天然ガスの輸入を完全に停止するとの考えは現実的ではない」としながらも、「防衛機器、金融、貿易金融など、エネルギー以外の分野で数多くの対策が考えられ、ロシアに大きな影響を及ぼすことができる」と述べた。
メルケル首相は、欧州のロシア産天然ガスに対する依存度を引き下げるには時間がかかると指摘。欧州連合(EU)内でエネルギー同盟を促進するために中期的に行うべきことを見極めることが重要と述べ、特に向こう10─15年の依存度について検証する必要があるとの考えを示した。
ウクライナ南東部では、親ロシア派勢力が欧州安保協力機構(OSCE)監視団員を拘束。オバマ大統領はこれについて、武装勢力が国債監視団員を拘束していることは恥ずべき行為と批判。ロシアに対し、ウクライナの親ロシア派勢力を懐柔するよう呼び掛けた。
また、この日はウクライナ東部のスラビャンスクで、ウクライナ軍のヘリコプター2機が親ロシア派に携帯式地対空ミサイルで撃墜され、兵士2人が死亡。
オバマ大統領は携帯式地対空ミサイルが使用されたことは、同地域で親ロシア派住民が自主的に混乱を起こしているとのロシアの主張と矛盾すると指摘。攻撃を行ったのは「重武装の兵士だった」とし、「ロシアの支援を受けたグループが、平和的な抗議行動を行っている人々ではないことは明白だ」と述べた。
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