安倍首相は4月23日、オバマ大統領と銀座の高級寿司店「すきやばし次郎」で会食をした。後日行われた記者会見によると、この夜は安全保障の話など幅広い議論が行われたとされるが、話題の大半は環太平洋連携協定(TPP)に関する内容だったとの報道もある。
MSN産経ニュースは二人の激しいやりとりについて、安倍首相がアメリカ企業の努力不足を手厳しく指摘した一面を次のように報じている。
(オバマ大統領)「ここに来るまでの間、(米自動車大手)ゼネラル・モーターズ(GM)やフォードの車を全く見なかった。日本市場が閉鎖的だからじゃないか」
首相は即座に反論した。「ドイツのBMWやメルセデス・ベンツの車はたくさん走っている。なぜなら、欧州は日本市場に合わせて右ハンドル車を造るなど努力しているからだ」
(MSN産経ニュース『【検証・日米首脳会談】活況すし会談「街にGM車ない」「BMWはある」…“オバマ妥協案”フロマン氏に伝わらず』より 2014/04/30 08:27)
財務省が発表した貿易統計によると、2013年度の自動車輸入台数は、EUからが26万817台と2012年度から23.3%増えたのに対し、アメリカからは2万2573台で、4.2%減っている。アメリカは日本の自動車安全基準が「参入障壁」としており、規制緩和を要求している。
米側は、国内仕様の安全基準を日本に認めさせることで、輸出に際して日本の安全基準に合わせる手間や改造コストを圧縮できるため、より安い価格での販売が可能になる。一方、政府は交通事故防止のために設けた国内の安全基準を緩和した結果、事故が増える事態を懸念し、反対姿勢をとっている。
(MSN産経ニュース「【TPP】米国仕様車の認証要求 ブレーキなどの安全・環境基準 日本慎重、障害に」より 2014/04/18 08:59)
菅義偉官房長官は23日午前の記者会見で「安全基準は絶対に譲るべき点ではない」と述べ、アメリカの要求には応じない考えを示した。
なお、アメリカは自動車の輸入台数についても、年間目標を設けるよう日本に要求しているという。要求では、この目標を下回ったときに、アメリカが自動車関税(乗用車は2.5%)の撤廃を先送りする内容が含まれているが、これに対して日本は「事実上の関税維持だ」と強く拒否している。
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