韓国南部の珍島沖で475人を乗せた大型旅客船「セウォル号」が沈没した事故は、韓国海洋警察の集計によると、4月18日午前1時半現在で乗客、乗員25人の死亡が確認された。依然として271人が行方不明となっており、軍や海洋警察、民間の漁船などが動員され、約500人態勢で救出活動にあたっている。
ただ、捜索は潮流の速さに強い雨の悪天候も加わり難航している。現場では潜水士を投入して船内の捜索を試みたが、水が濁り視界が10~20センチ程度のため断念した。捜索は悪天候のため、17日午後1時に一時中断していた。海洋警察は午後8時40分から、現場に潜水士を投入して捜索を再開した。
【韓国旅客船沈没事故】
聯合ニュースによると、韓国海洋水産部は船体引き揚げのための海上クレーン船3隻が、18日午前5時から午後4時ごろまでに、現場に到着する見通しを明らかにした。引き揚げ作業の開始時刻は未定という。
■事故原因は「急な進路変更」?
海洋警察の捜査本部は、船長らへの事情聴取の結果、無理な急旋回が事故につながった可能性があるとみている。
聯合ニュースは海洋水産部が船舶自動識別装置で航路を分析した結果を伝えている。それによると、仁川から済州島に向けて通常の航路を進んでいたセウォル号は、16日午前8時49分ごろ突然、右に急旋回する。ここから418m進んだ8時52分、さらに右旋回し、スピードを落として元から来た方向に4350m進み、午前10時12分に信号が途絶えている。海洋水産部は、この時点ですでにセウォル号が動力を失い、漂流していたとみている。
セウォル号には車約180台とコンテナ貨物約1157tが積まれており、急旋回で貨物がバランスを崩し、船体が一気に傾いた可能性もある。
■大統領、現地を訪問
朴槿恵大統領は17日、行方不明者の家族が滞在している珍島の体育館を訪れた。ハンギョレによると体育館で「希望を捨てず、救助のニュースを待っていてほしい。天気がよくないが、最善を尽くしてほしいと(捜索担当者に)伝えた。ご家族には、政府が可能な限りの支援と便宜を尽くす」と述べた。
これに対し家族からは「捜索の指揮系統がめちゃくちゃだ」など、捜索が進まないことへのいらだちの声がぶつけられた。意見交換は35分に及んだが、強い調子で非難する声と、大統領の慰問を支持する拍手が交互にわき起こる状態だったという。
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